睡眠は神経系を有するあらゆる動物に保存されている現象である。その重要性は明白であるものの、睡眠制御の分子神経学的基盤の理解やその本質的な役割に関しては謎のままである。本研究では、分子遺伝学的操作に優れているショウジョウバエをモデル生物に用い、睡眠の分子神経学的基盤のメカニズムの理解に迫ることを目標とする。申請者はこれまでに、ショウジョウバエを用いて、睡眠を誘引する因子を探索すべく、独自の行動スクリーニングをおこなった。その結果、睡眠を非常に強く誘引する因子、Nemuriを同定することに成功した。そこで、本申請課題では、このNemuriに着目し、nemuriの睡眠誘引メカニズムを遺伝学的、及び、生化学に明らかにすることを目指す。 当該年度は、Nemuriと相互作用する因子に関する特定の酵素活性を持つ因子に対して抗体を作製し、ハエの脳組織においてその局在解析をおこなった。また、この酵素活性をもつ因子が及ぼす基質因子を同定するための生化学的な基盤を打ち出すことに成功した。
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