研究課題/領域番号 |
20H03296
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
筒井 和義 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 特任教授 (20163842)
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研究分担者 |
浮穴 和義 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 教授 (10304370)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 社会環境 / 生殖行動 / 脳内分子機構 / 生殖腺刺激ホルモン放出抑制ホルモン(GnIH) / ノルエピネフリン |
研究実績の概要 |
研究代表者は、独自の発想により、鳥類の視床下部から生殖腺刺激ホルモンの放出を抑制する新規脳ホルモンである生殖腺刺激ホルモン放出抑制ホルモン(GnIH;ペプチドホルモンの一種)を発見した。この独創性の高い発見により、関連研究分野に新しい研究領域が萌芽した。さらに、研究代表者の最近の研究により、社会環境の受容系と行動・内分泌系の変化を仲介する脳ホルモンがGnIHである可能性が示唆された。以上の学術的背景により、社会環境による生殖行動変容の仕組みを明らかにする分子レベルから行動レベルの研究が可能な段階に至った。本研究では、GnIHの分泌と作用に関与する脳内候補分子(ノルエピネフリン、GnRH2、ニューロエストロゲン)に着目して分子レベルから行動レベルの解析を進めることにした。本年度は、「生殖行動を変容させる社会環境」に着目し、ウズラを解析モデルとし、求愛行動・性行動を変容させる社会環境を同定することを目的とし研究を行った。その結果、個体の置かれた社会環境(雄ウズラが雌をみた状況)は雄の視床下部においてノルエピネフリンの分泌を促してGnIHの発現と分泌を高めることを明らかにした。さらに、雄ウズラを用いた解析より、GnIHはニューロエストロゲンを産生するニューロンに作用してニューロエストロゲン合成を高めて雄の攻撃行動を抑制することを示唆する結果を得た。今後の研究により、作用機序を解析する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナの影響で研究室内への立ち入り制限も行われたものの、当初の計画していた実験は進められたため。
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今後の研究の推進方策 |
社会環境により変動する脳ホルモンが導く生殖行動変容の分子機構の解析を行う。社会環境の変化により変動した脳ホルモンを生殖行動の中枢に処理し、この脳ホルモンの生殖行動の中枢における作用機構を明らかにする。
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