研究課題/領域番号 |
20H03299
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野崎 久義 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (40250104)
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研究分担者 |
河地 正伸 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 室長 (50260469)
山口 晴代 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (20722672)
高橋 文雄 立命館大学, 生命科学部, 講師 (60332318)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 交配システム進化 / ホモタリック / ヘテロタリック / Volvox / 全ゲノム解析 / 性決定領域(SDR) |
研究実績の概要 |
琵琶湖産のVolvoxのヘテロタリック種とこれに極めて近縁なホモタリック種の全ゲノム比較解析から、ホモタリック種は、ヘテロタリック種のメス側の性染色体の性決定領域(SDR)が残存したままオス特異的遺伝子を獲得することで誕生したことが明らかになった。交配システムの転換進化はさまざまな生物で研究されているが、ホモタリック種への転換時におけるメスとオスの性染色体のSDRの運命を初めて明らかにした (Yamamoto et al. 2021, PNAS)。その結果、祖先種のメス側の性染色体が残存したまま "OTOKOGI"/MID 等のオス特異的遺伝子を獲得することで雌雄同体種が誕生したことが明らかになった。雌雄同体種へ進化した後もメス側の性染色体だけがほぼ残存しているという驚くべき事実は、有性生殖におけるメスとオスの根源的な差異を反映している可能性があり、性の進化研究の新たなる展開が期待される。ホモタリック種へ進化した後もメス側の性SDRだけがほぼ残存している驚くべき事実はメス機能とオス機能の発現の差異を反映している可能性があり、性の進化の新たなる研究が期待される。 Starr (1971, H. C. Bold博士40年以上のteaching excellence 記念出版物) は世界各地から集めたVolvox africanus と同定される株(VxAf)で4種類の交配システムを報告していたが、その株の多くは絶滅していた。我々は2015年に琵琶湖からVxAf の交配システムの2タイプ(ヘテロタリックとホモタリック両性・雄群体)を再発見しているが(Nozaki et al. 2015, PLOS ONE)、本年度は、タイの内陸部のカラシン県の淡水域から第3番目の交配システム(ホモタリック雄・雌群体)を持つ株を得ることができたので、その形態と分類に関して調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
雌雄異体種と雌雄同体種との転換進化はさまざまな生物で研究されているが、本研究期間で琵琶湖産のVolvox2種3株の全ゲノム比較解析から、雌雄同体種への転換時におけるメスとオスの性染色体のSDRの運命を初めて明らかにした。雌雄同体種へ進化した後もメス側の性SDRだけがほぼ残存している驚くべき事実はメス機能とオス機能の発現の差異を反映している可能性があり、性の進化の新たなる研究が期待された (Yamamoto et al. 2021, PNAS)。また、本研究課題の推進に大きく貢献すると思いわれる第3番目の性表現(ホモタリック雄・雌群体)を持つ株を得ることができたの、この株の全ゲノム解読とSDR相同領域の推定できること期待される。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の推進に大きく貢献すると思いわれるVolvoxの第3番目の性表現(ホモタリック雄・雌群体)を持つ株を得ることができたの、この株の全ゲノム解読とSDR相同領域の推定し、琵琶湖産の成果(Yamamoto et al. 2021, PNAS)と比較研究する。
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