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2021 年度 実績報告書

エミューの前肢を積極的に退縮させる発生基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H03301
研究機関東京工業大学

研究代表者

田中 幹子  東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (40376950)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード進化発生
研究実績の概要

本研究では、エミューの前肢を題材に、その前肢の退縮機構を明らかにすることを目標に研究を行った。エミューの前肢は、骨の短縮、滑膜関節の消失、および、左右非対称な骨格を持つという特徴を示しており、これらは前肢の先端には筋肉が存在しないために、発生中に四肢を動かせないことに起因して生じた特徴であることがわかった。さらに、前肢の先端に筋肉がない原因を探ったところ、エミューの前肢で特異的な発現が確認されている Nkx2.5 遺伝子が関係していることが明らかとなった。エミューの前肢芽では、皮筋節から脱上皮化し先端へと遊走している筋芽細胞(遊離筋)が Nkx2.5 陽性細胞によってトラップされるため、遊離筋はそれ以上遊走することができなくなっていたのである。そして、遊離筋とNkx2.5 陽性細胞の 2 種類の細胞は混在したまま骨格筋へと分化していた。また、Nkx2.5 陽性細胞のごく一部は、血球幹細胞にも分化していることも見出した。これらの結果は、器官の退縮が新規の遺伝子の発現領域の獲得による新しい細胞種への分化という遺伝的要因に加え、筋形成不全に伴う力学的ストレスの低下という後天的要因の組み合わせによって起こりうるという、全く新しい器官退縮の発生メカニズムの存在の提唱に繋がった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

基盤研究(B)として申請した研究課題の内容については、計画していた全ての研究を遂行し、その成果を論文としてまとめ、投稿したため。

今後の研究の推進方策

研究成果を論文としてまとめて、論文を投稿する。投稿後は、論文の受理に向けて、審査員の助言に従った改訂を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 遺伝的要因と外的要因に起因する形態の発生と進化2023

    • 著者名/発表者名
      田中幹子
    • 学会等名
      第128回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 滑膜関節の進化のプロセスの解明に向けたアプローチ2023

    • 著者名/発表者名
      上原克也、平沢将大、川原大和、湯玲子、河西通、田中幹子
    • 学会等名
      日本動物学会関東支部第75回大会
  • [学会発表] Reduction of Muscle Activities Underlies the Forelimb Morphology of Emu2022

    • 著者名/発表者名
      Eriko Tsuboi, Ingrid Rosenburg Cordeiro, Satomi F Ono, Reiko Yu, Makoto Koizumi, Guojun Sheng, Masataka Okabe, Mikiko Tanaka
    • 学会等名
      16th International Conference on Limb Development, Regeneration, and Evolution
    • 国際学会
  • [備考] 田中幹子研究室

    • URL

      http://www.evodevo.bio.titech.ac.jp

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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