生物に不要となった器官の退縮は、その器官の発生を担う遺伝子の発現量や発現領域の変化に起因して、細胞数が減少することによって起こると考えられていた。本研究の成果は、器官の退縮が単にその器官の発生に必要な因子の欠如にはよらず、新しい細胞種の存在という遺伝的要因と筋形成不全に伴う力学的ストレスの低下という後天的要因の組み合わせによって起こりうるという、これまでの常識を覆す全く新しい器官退縮の発生機構の提唱に繋がった。本研究では、形態変化の要因を考える上で、ほとんど考慮されてこなかった視点の重要性を提案しており、今後の発生学分野研究と進化学分野研究の展開に新たな方向性を提案する重要な成果にとなった。
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