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2022 年度 実績報告書

高温適応進化におけるプロテオスタシスネットワークの挙動とその機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H03302
研究機関東邦大学

研究代表者

岸本 利彦  東邦大学, 理学部, 教授 (90339200)

研究分担者 古倉 健嗣  東邦大学, 理学部, 准教授 (30344039)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードプロテオスタシス / 高温適応進化 / 大腸菌
研究実績の概要

2022年度は下記の研究実績を得た。
1)大腸菌高温適応進化と進化におけるネットワーク解析 2系統の大腸菌高温適応進化により48℃以上で増殖可能となった大腸菌株の至適増殖温度を解析し、第2系統の48.1℃適応株の至適増殖温度が45℃以上となり、実験室進化で中温菌である大腸菌が高温菌に進化したことが判明した。高温適応進化過程の大腸菌株のRNAseq解析、ゲノム解析を実施した。
2)プロテオスタシス制御因子の変異機能解析 ①高温適応進化で ORFに3箇所の変異が固定されたGroELに関して、全ての変異の組み合わせを持つGroEL遺伝子発現系をAnc株に導入・発現し、40℃での増殖特性を確認した。その結果、変異蓄積に従い高温での増殖様式が安定することが確認され、GroEL変異が高温での増殖にポジティブであることが確認された。②シャペロン系因子のターゲットタンパク質の網羅解析 Kernerの 方法(Kerner, Cell, 2005)を用い、Hisタグ付きGroESの発現を行い、GroEL/ES複合体精製の検討を行った。その結果、各種変異型GroELを発現する高温適応進化株からのGroEL/ES複合体精製が確認された。 ③RpoH変異による転写制御能ネットワーク変化の解析 高温適応進化過程におけるrpoH変異前後の大腸菌株を用いたRNAseq解析を行った。その結果、rpoH変異によりプロテオスタシス系8遺伝子全ての発現が上昇していた。その他の遺伝子群の発現は、rpoH変異による大きな影響を受けておらず、rpoH変異はプロテオスタシス系の発現上昇を行うことで、高温適応進化にポジティブな影響を与えていることが示唆された。 ④プロテオスタシス系必須遺伝子変異前後のタンパク質構造変化をAlphaFold2解析し、変異により高温菌の相同タンパク質の構造に似る傾向があることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高温適応進化において、実験室進化で種を超える高温菌への進化が起こったことを確認(世界初)。
プロテオスタシス系のネットワーク進化を解析するためのRNAseq解析を実施し、複合体解析の予備検討が完了した。
ネットワーク進化解析の予備検討に着手した。
などにより、順調に進捗していると判断した。

今後の研究の推進方策

上記進捗状況を加味して、プロテオスタシス系を中心とした高温適応進化による細胞内ネットワークの変化の解析を進める。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 大腸菌を用いた長期実験進化への挑戦 ストレスを受け入れ生き延びる方法の探求2023

    • 著者名/発表者名
      岸本利彦
    • 雑誌名

      生産と技術

      巻: 75 ページ: 35-37

  • [学会発表] 大腸菌高温適応進化とその生き残り戦略2022

    • 著者名/発表者名
      岸本利彦、松尾萌、河野暢明、田村 武幸
    • 学会等名
      第1回総合微生物学研究会
  • [学会発表] 大腸菌の高温適応進化におけるプロテオスタシス系のネットワーク変化解析2022

    • 著者名/発表者名
      外山弘恵、松尾萌、小西隆介、菅野暢、加瀬遥菜、鈴木裕茄、山内長承、 河野暢明、岸本利彦
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 大腸菌の高温適応進化から見える生命の生き残り戦略2022

    • 著者名/発表者名
      岸本利彦
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] EMTをモニターするレポーター細胞株の樹立2022

    • 著者名/発表者名
      戸邉理佳、岡島美空、奈良井節、中山裕二、岸本利彦、古倉健嗣
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会

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公開日: 2023-12-25  

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