研究課題/領域番号 |
20H03305
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中山 卓郎 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (70583508)
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研究分担者 |
矢吹 彬憲 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋生物環境影響研究センター), グループリーダー (20711104)
野村 真未 山形大学, 理学部, 助教 (40770342)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 微生物多様性 / 共生 / 原生生物 / メタバーコーディング |
研究実績の概要 |
感染症拡大防止のため本研究計画の起点となる野外採集が行えずにいたが、2021年度7月には野外採集の予備実験を行い、11月に筑波大学下田臨海実験センターにおける海洋微生物サンプリングを実施することができた。 得られた海水サンプル中から原核生物を共生させる真核微生物合計11種類を発見し、マイクロキャピラリーを用いてそれぞれ1細胞づつ単離を行った。そのうち9サンプルについて共生原核生物のゲノムを増幅し、Illumina社シーケンサーによる解析を行った。その結果、Ornithocercus属渦鞭毛藻3種、Histioneis属渦鞭毛藻2種、Citharistes属渦鞭毛藻1種の共生原生生物についてゲノム情報を取得することに成功した。 予備的なゲノムアセンブリングおよび解析を行った所、上記の渦鞭毛藻に共生する原生生物のうち、シアノバクテリア共生体についてはほぼ全てにおいて十分なシーケンスリード量が得られており、これらについては全ゲノムもしくはそれに近い品質のゲノムが再構築可能であると予想される。現在、ゲノムアセンブリング・コンタミネーション除去および遺伝子アノテーション作業の検討を行いつつ、ゲノム情報の取得を進めている。 下田臨海実験センターにおける採集においては、海水サンプルからのメタゲノムDNAの抽出も行った。下田近海の各地点で得られた海水サンプル10Lを0.45μm, 5μm, 20μm, 120μmの網目のナイロンメッシュフィルターで濾過し、濾過後のフィルターからそれぞれDNA抽出を行った。今後このDNAを用いて16S rDNA遺伝子をマーカーとしたメタバーコーディング解析を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度の野外採集によって予想を上回る種類の原核生物共生性真核微生物を発見でき、ゲノムDNAシーケンスも概ね成功していることから、共生原核生物のゲノム解析については当初の計画と照らしても特に遅れは生じていないと評価できる。しかし、感染防止対策による初動の遅れはメタバーコーディング解析の進行に影響を及ぼしている。本来であれば2021年中にメタバーコードデータを取得する計画であったが、現時点においてデータを得るに至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
メタバーコーディング解析に遅れは認められるものの研究全体に大きな影響はなく、今後も当初計画した作業を行っていく。2022年度は2021年度に得られた共生原核生物のゲノム解析をすすめ、それぞれの原核生物がもつ代謝機能を推定する。また代謝機能およびゲノム縮退の程度から宿主真核微生物との共生関係の強さを推定した上で、共生に至る進化についても議論する。さらに得られたゲノム配列を既存のメタゲノムデータベースに照らすことでそれらの共生生物が地球上のどのような環境に分布しているかを解析し、環境に与えるインパクトを推定する予定である。 さらに2021年度において得られた環境DNAのうち、真核生物サイズ画分にあたる20μm網目のフィルターから得られたものについてメタバーコーディング解析を行い、これまで補足されてこなかった共生原核生物を探索する。
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