研究課題
本研究は、国内外における野外調査をもとに、花組織を報酬とする送粉共生系の多様性を浮き彫りにし、それらに共通する花形質を見出すことで、従来の送粉シンドロームの枠にとどまらない、被子植物の花の多様性に対する新しい理解を切り拓くことを目的としている。2021年度は日本およびニューカレドニアのコミカンソウ属3種(コバンノキPhyllanthus flexuosus、ハナコミカンボクP. liukiuensis、およびP. baladensis)において、タマバエ科の昆虫が主要な送粉者であることを明らかにし、結果を論文としてまとめた。また、コバンノキの送粉者であるClinodiplosis属、およびMacrolabis属の種がともに未記載種であったため、それぞれClinodiplosis gagnei、Macrolabis katoiとして新種記載した。また、モクレン科のオガタマノキで花で繁殖するアザミウマが送粉に関わっていることを明らかにし、投稿論文を準備中である。花組織を報酬とする新しい送粉系として2021年度はタコノキ科に着目し、琉球列島産のアダンに着目した研究を行なった。その結果、特定の種の甲虫が花を繁殖場所として利用しており、送粉に関わっていることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
これまでに発見した系についての知見を深化させるとともに、タコノキ科における新しい系の発見があり、順調に成果が得られている。
アダンとその送粉者の関係についての理解を深めるとともに、2021年度までは実施を見送っていた海外調査を行い、国外におけるコミカンソウ属やタコノキ属の生態解明を進めることで、花組織報酬型の送粉系に関する理解を一層充実させる。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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https://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/common/research/kawakita-lab/Japanese/home.html