「種」という概念は,我々が日常で生物に関する情報をやりとりをする上でも不可欠なものである.ただし,多くの種は形態的な違いに基づいて定義されてきたが,この「形態差」がみられるという段階がどの程度生物どうしとして分化した状態であるのかは,ほとんど調べられてこなかった.そのため,ごく些細な形態差で区別された種などは,その形態差が本当に種の分化を示しているのかという疑問は,生物の愛好者を含め多くの人が抱く疑問であった.本研究により,昆虫においては,微細であっても質的な形態差は種分化のかなり後半で生じることが示唆され,このような形態差が見られる分類群間には他の生殖隔離も生じていると考えられる.
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