研究課題
伊吹山の標高300mから1300mに連続的に分布するハクサンハタザオを対象に、標高適応に関する研究を行った。標高359mから1317mまで標高約20mおきに計60個体をサンプリングし、全ゲノム解析を行った。集団遺伝構造を解析した結果、標高600m以下は低標高特有のゲノムをもつ個体が、標高1000m以上は高標高特有のゲノムをもつ個体が、600から1000m(中間標高)には、両者のゲノムが混在した個体が分布することを明らかにした。中間標高において特異的に選択されている遺伝子を特定し、その機能を考察した(Yoshida et al. 2023)。高標高エコタイプと低標高エコタイプの凍結耐性と低温光阻害耐性を解析した。凍結耐性も低温光阻害耐性もエコタイプ間で有意に異なり、低温応答が機能的に分化していることが明らかとなった。高標高エコタイプと低標高エコタイプを交配してF2個体を多数作製し、その凍結耐性と低温光阻害耐性を調べた。凍結耐性と低温光阻害耐性は互いに分離し、異なる遺伝子によって支配されていることが示唆された。ゲノムワイド関連解析を行い、それぞれの形質に関与していると期待される遺伝子を特定した。高標高エコタイプと低標高エコタイプの温度光合成曲線を比較した。両者の間では温度光合成曲線の形が有意に異なったが、予想と異なり、高標高エコタイプのほうが最適温度が高いという結果を得た。この生態学的意義は不明である。また、関連する研究として、比較的近年(1970年代)に侵入してきたと考えられているミチタネツケバナの東日本における集団遺伝学的解析を行った。東日本の集団は大きく4グループに分かれ、うち1グループは国内に入ったのち交配によって生じた新しいグループであると考えられた。種分布モデルを適用した結果、グループの温度ニッチが異なると推察された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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http://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/hikosaka_lab/
http://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/hikosaka_lab/hikosaka/index.html