研究課題/領域番号 |
20H03319
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 庸平 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00359168)
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研究分担者 |
加藤 真悟 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 開発研究員 (40554548)
石村 豊穂 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (80422012)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | DPANN / 16S rRNA遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究では、深部岩石内部で優占する極小原核生物であるCPRとDPANNを対象にするため、南部マリアナトラフの深海底熱水噴出孔から採取した金属硫化物チムニー試料を用いた。微生物検出を行うために、代表者が先行研究で開発した岩石内部の微生物を細胞単位で可視化するイメージング技術を適応した。金属硫化物チムニーから厚さ3 μmの薄片を作成し、高空間分解能二次イオン質量分析装置を用いて、炭素、窒素、硫黄、リン等の生体主要元素の細胞レベルでのイメージングを行った。微生物細胞に関しては極小のため可視化不可だったため、薄片の厚さを150 nmにし、ナノ固体分析手法を用いて解析した。結果、黄銅鉱(CuFeS2)の鉱物粒子間の狭い隙間に直径100 nm程度の極小微生物が密集していることを確認した。微生物の存在を確認したので、チムニー試料をマイクロドリルで削り、DNAを抽出し、16S rRNA遺伝子アンプリコン解析を実施した。得られた配列情報から、金属硫化物チムニー試料中には、DPANNに分類される始原的な古細菌が優占していることが確認された。さらに、金属硫化物チムニー試料に対し、ゲノムや遺伝子発現について解析を行うためにDNA抽出を実施し、2年目以降への研究へと繋げた。また、岩石試料からの微生物検出法について、Frontiers in Microbiologyにて発表した(Takamiya, H. Suzuki, Y.et al 2021)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Covid19の発生とそれに伴う行動制限によって実験の遅延が生じた。特に遺伝子アンプリコン解析とメタゲノム解析におけるデータ解析で遅れがあったが、研究員を雇用することで大量のデータ解析を迅速に行うことができ、成果を論文および国際学会で発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、南部マリアナトラフの深海底熱水噴出孔から採取した金属硫化物チムニー試料を用いて、微生物検出を行うために、生体主要元素の細胞レベルでのイメージングとナノ固体分析を実施した。その結果、黄銅鉱の鉱物粒子間の狭い隙間に極小微生物が密集していることを確認した。微生物の存在を確認するために、遺伝子アンプリコン解析とメタゲノム解析に取り掛かる予定であったが、Covid19の発生とそれに伴う行動制限によって研究分担者との打ち合わせや共同で実験を実施することが困難になった。2020年度は、打ち合わせをweb会議等に切り替え、解析実施場所をそれぞれの所属研究所で実施することで対応した。その結果、金属硫化物チムニー試料中に、始原的な古細菌が優占していることを確認した。また、ゲノムや遺伝子発現について解析は、研究員を雇用することで大量のデータ解析を迅速に行うことで対応した。 今後は、可能な限り打ち合わせはweb会議に切り替え、例えば、試料のみを送り、代表者や分担者がそれぞれ個別に試料の解析を行えるようにしていく予定である。
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