本研究では、維管束植物の木本群集に焦点を当て、多様性の緯度勾配パターンの起源と歴史的動態メカニズムに焦点を当てた。まず、新生代の植物化石と現生植物種の分布情報を収集して植物多様性ビッグデータを整備した。 そして、過去から現在まで地質年代毎の木本多様性の緯度勾配パターンを定量した。さらに、化石と現生植物のデータを統合して、緯度バンド毎の木本属の絶滅率と生存率、緯度バンド間の分散率(レンジシフト)を推定した。これらより、木本多様性の緯度勾配の動態を、熱帯ニッチ保守性と温帯ニッチ進化の観点から検証した。 特に、新生代の気候変動(温暖化や寒冷化)に対する木本群集の多様性パターンの応答を、低緯度プロセス(out of tropics: 熱帯起源と高緯度への分散)と高緯度プロセス(out of temperate: 温帯起源と低緯度への分散)の相対的重要性に基づいて考察した。
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