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2021 年度 実績報告書

新皮質運動野におけるトップダウン入力と局所振動の機能連関

研究課題

研究課題/領域番号 20H03359
研究機関玉川大学

研究代表者

川口 泰雄  玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (40169694)

研究分担者 窪田 芳之  生理学研究所, 脳機能計測・支援センター, 准教授 (90192567)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード前頭皮質 / 錐体細胞 / FS細胞 / 皮質間投射 / 振動
研究実績の概要

前頭皮質機能を発現する重要な構造である、トップダウン投射と振動生成回路をニューロンタイプからボトムアップに理解するために、以下の実験・解析を行った。
(1) 二次運動野(M2)から一次運動野(M1)へ投射する終脳投射(IT)細胞の多様性: これまでに、M2からM1の1層への軸索終末が5層錐体細胞樹状突起タフトへシナプスすることや、M2からM1へトップダウン投射する錐体細胞は主に3層と5層にあることを明らかにした。本年度は、M2の5層IT細胞のM1の1層投射様式を解析した。5層IT細胞に選択的にCreを発現する遺伝子改変マウスを用いて、蛍光標識したM2-5層IT細胞の軸索は1層に分布していた。M1皮質表面に逆光性トレーサーを適用すると、M2の5層IT細胞の6割ほどが標識され、5層IT細胞軸索の層分布に多様性があることが考えられた。転写因子の一つであるER81(ETV1)が5層IT細胞の一部に発現していたので、1層投射とER81発現の関係を調べた。その結果、M1の1層へ投射する5層IT細胞がER81を発現することが分かった。
(2) 前頭皮質の振動生成回路の同定: これまでに、前頭皮質5層錐体細胞のサブタイプである錐体路(PT)細胞を振動成分のない漸増光刺激で選択的に興奮させると、ベータ/ガンマ帯域の振動が引き起こされ、この誘発にはパルブアルブンFS細胞との結合が必要であることを見つけた。これまでに明らかにした、前頭皮質5層のPT、IT、FS細胞の内因的特性、同種間・異種間の化学シナプス特性、FS細胞の電気結合特性を使って、局所回路モデルを作った。このモデル回路でPT細胞を漸増刺激するとベータ/ガンマ振動が誘発されたのに対して、IT細胞刺激では振動が起こらなかった。前頭皮質の振動誘発におけるPT細胞の重要性が実験的にも計算論的にも明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

皮質間トップダウン投射と皮質局所振動の機能を理解するために必要な、前頭皮質間投射細胞や振動誘発回路の実体を明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

二次運動野から一次運動野錐体路細胞へのシナプス結合の選択性や可塑性を明らかにするとともに、一次運動野へ投射する錐体細胞サブタイプの局所結合様式を解析し、皮質間トップダウン機能の理解を深める。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Pyramidal cell subtype-dependent cortical oscillatory activity regulates motor learning2021

    • 著者名/発表者名
      Otsuka T, Kawaguchi Y
    • 雑誌名

      Communications Biology

      巻: 4 ページ: 495

    • DOI

      10.1038/s42003-021-02010-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Morphological and neurochemical characterization of electrophysiologically identified cells2021

    • 著者名/発表者名
      Kubota Y
    • 雑誌名

      Neuromethods

      巻: 169 ページ: 353ー 382

    • DOI

      10.1007/978-1-0716-1522-5_24

  • [学会発表] 学習に伴う大脳皮質一次運動野の神経回路構築のリモデリング2022

    • 著者名/発表者名
      窪田芳之, 孫在隣, 川口泰雄
    • 学会等名
      第99回日本生理学会大会
  • [学会発表] Experience-dependent actin organization specifies dendritic properties in cortical interneurons2021

    • 著者名/発表者名
      Hou X, Morishima M, Sugi J, Sakimura K, Kawaguchi Y, Sugiyama S
    • 学会等名
      SFN Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] ラットの大脳皮質細胞へのシナプス入力特性2021

    • 著者名/発表者名
      窪田芳之, 畑田小百合, 山口登, Alsayed A. Mohamed, 田中康裕, 川口泰雄
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会
  • [学会発表] 前頭皮質5層錐体細胞の皮質間投射多様性2021

    • 著者名/発表者名
      任翔フン, 植田禎史, 大塚岳, 田中康裕, 川口泰雄
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会
  • [学会発表] Corticocortical innervation diversity and plasticity of pyramidal cells in rodent frontal cortex2021

    • 著者名/発表者名
      川口泰雄
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会 (2021)
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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