研究課題
本研究は、世界初のオレキシン1受容体作動薬の創製から薬理学研究までを一貫して実施し、オレキシン1受容体の機能解明を目指すものである。 最終年度は、初年度に見出したOX1R選択的作動薬 D の更なる誘導化展開と、R3年度に見出した水溶性作動薬 E を用いるin vivo薬理評価を実施した。【作動薬 D の誘導化】R3年度に作動薬 D のスルホンアミド基上の芳香環部位に注目した変換を行うことで、OX2Rには活性を示さず、OX1R特異的に作動活性を示す新たな構造の取得に成功したため、その末端に存在するアミド基上の置換基の網羅的検討を継続して行った。各種アルキル置換基を導入した場合では活性は大きく減弱した一方で、水素結合受容能を有する置換基を導入することで活性が向上することを見出した。結果として、置換4-ピリジル基を導入した際に130 nM でOX1R選択的作動活性を示す新たな誘導体 G を見出すに至った。【作動薬 E を用いるin vivo薬理評価】本年度は水溶性作動薬 E を用いて末梢投与による鎮痛効果ならびに条件付け場所嗜好性を調査した。マウスに作動薬 E を皮下投与し、テイルフリック試験により鎮痛効果を調べたところ、40, 60 mg/kg を投与した際に有意な鎮痛効果が確認された。また、条件付け場所嗜好性試験においては、作動薬 E は40 mg/kgで嗜好性を示すことを見出した。これらの効果がOX1Rの活性化により引き起こされているかを確認するために、OX1R欠損マウスを用いて同様の試験を行った。その結果、いずれの効果もOX1R欠損マウスでは確認されなかった。以上の結果から、作動薬 E は末梢投与で中枢のOX1Rを選択的に活性化することのできる初の作動薬であることが示された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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