研究実績の概要 |
-n→π*相互作用が構造形成に重要なβ-ターン構造をモデルとして、β-ターン構造のミミック効果を精査した。β-ターン構造を形成するテトラペプチドのPro-D-Val結合を種々のアルケン骨格に置換したペプチドミメティックを合成・構造解析したところ、既知の等価体の中では,クロロアルケン型が最も優れたβ-ターンミミックとなることを見出した。また、クロロアルケン型のβ-ターン構造は, 塩素原子の立体効果に加え、立体電子効果によって安定化されていることを見出した。
-五員環状二置換アミノ酸を含むクロロアルケン型ペプチド結合等価体CADIの合成とヘリカルペプチドミミックの合成を検討した。シクロペンタノンから誘導したキラルなイミンに対し, Aza-Darzens縮合を行い、スピロ炭素と四級炭素を含むアジリジン化合物を構築し、順次官能基変換することで所望のAc5c-Leu型CADI を立体選択的に合成した。さらに, 7残基のヘリカルペプチドにCADIを導入したヘリカルペプチドミメティックの合成に成功した。CADIを導入したヘリカルペプチドミメティックの二次構造を解析したところ、右巻きのα-ヘリックス構造を形成していることが示唆された。
-R3年度に構築したRGGペプチドライブラリーのG4結合親和性を評価した結果、RNA由来のグアニン四重鎖TERRAに対し、50 μM以下の結合親和性を示したペプチドを12種見出し、なかには1.47 μMと高い結合親和性を示す新規RGGペプチドを見出した。また、RGGYペプチドの構造を分光学的に解析したところ、天然型は特定の二次構造を形成しないのに対し、クロロアルケン型はターン構造を形成することが明らかになった。
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