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2020 年度 実績報告書

マイクロ波エネルギー集積効果を利用した効率的連続フロー合成法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20H03367
研究機関岐阜薬科大学

研究代表者

佐治木 弘尚  岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (50275096)

研究分担者 山田 強  岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (70821479)
澤間 善成  岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (80552413)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードマイクロ波 / エネルギー集積 / 連続フロー反応 / 局所高温反応場 / 活性炭
研究実績の概要

カーボンビーズ(CB)担持Pt触媒カートリッジに微弱のMWを照射すると、MWがCBに集約され、2-プロパノール(IPA)やメチルシクロヘキサン(MCH)からの脱水素が安全かつ容易に進行する。すなわちMWを選択的に吸収する素材をエネルギー集約材料として局所反応場を構築することができる。本年度は、この知見を応用して以下の1~3を遂行した。
「1 環状炭化水素化合物の芳香化反応を利用した芳香族化合物の合成法」Pt/CBを触媒として10W MWを照射下、様々な非環状アルカンから水素を取り出し、環化芳香化した芳香族化合物を合成する方法論として一般性を確立した。
「2  MCHを水素源とした連続フロー精密合成法の確立」MCHからのPt/CB触媒的水素発生反応とPd/HP20 触媒的接触還元反応を連結して、還元性官能基の接触水素化法を確立した。
「3 非環状炭化水素の環化による多環式芳香族化合物の合成法の開発と反応機構解明」
ジフェニルアセチレンをMCHに溶解して5%Pt/CB(カーボンビーズ)触媒を充填したガラス触媒カートリッジに10W MWを照射しながら送液すると、ジフェニルアセチレンの二つのフェニル基間でC-C結合形成反応が進行して、フェナントレンが生成する事を見いだした。この反応はジフェニルアセチレンだけでなく、シス・トランススチルベンやジフェニルエタンを基質とした場合にもほぼ同様に進行する。さらに、ジフェニルメタンやトリフェニルメタン、2-フェニルナフタレンやトリフェニルアミン、オルトターフェニルなどを基質とした場合にも進行し対応する多環芳香族化合物が得られる。今後循環送液等の対応で収率の向上を図りたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

カーボンビーズ(CB)担持Pt触媒カートリッジに微弱のMWを照射すると、MWがCBに集約され、2-プロパノール(IPA)やMCHからの脱水素が容易に進行する。すなわちMWを選択的に吸収する素材をエネルギー集約材料として局所反応場を構築することができる。本年度は、この知見を応用して以下の1~3を遂行した。
「1 環状炭化水素化合物の芳香化反応を利用した芳香族化合物の合成法」Pt/CBを触媒として10W MWを照射下、様々な非環状アルカンから水素を取り出し、環化芳香化したビフェニル、ナフタレン、イソキノリン、ピリジンを容易に合成する方法論として確立した。
「2 MCHを水素源とした連続フロー精密合成法の確立」MCHからのPt/CB触媒的水素発生反応とPd/HP20 触媒的接触還元反応を連結して、還元性官能基の接触水素化法を確立した。
「3 非環状炭化水素の環化による多環式芳香族化合物の合成法の開発と反応機構解明」ジフェニルアセチレンをMCHに溶解して5%Pt/CB触媒を充填した触媒カートリッジに10W MWを照射しながら送液すると、ジフェニルアセチレンの2つのフェニル基間でC-C結合形成反応が進行してフェナントレンが生成する事を見いだした。なお、MCHの代わりにIPAを溶媒としてもカップリング反応は同様に進行したため、水素の重要性が確認された。この反応はジフェニルアセチレンだけでなく、シス・トランススチルベンやジフェニルエタンを基質とした場合にもほぼ同様に進行する。さらに、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、2-フェニルナフタレンやトリフェニルアミン、オルトターフェニルなどを基質とした場合にも進行し、対応する多環芳香族化合物が得られる。さらに様々な多環芳香族の合成を目指して反応しているが、収率が悪い反応も多いので、循環送液等の対応で収率の向上を図りたいと考えている。

今後の研究の推進方策

令和2年度の研究で確立した反応や明らかになりつつある反応機構の未完結部分を完成させる。また、Pt/CB触媒にMCHと芳香族化合物をわずか10WのMWを照射しながら連続フローするだけで芳香環同士がC-Cカップリングして多環芳香族化合物が生成する「非環状炭化水素の環化による多環式芳香族化合物の合成法」を確立しつつある。MCHを水素源とした連続フロー精密合成法の基質適用性に関する詳細を明確にして、多環式芳香族化合物合成法としての一般性を確立する。基質の形状を工夫すれば多様な多環式芳香族化合物を合成できるはずであるが、顕著な基質依存性が発現することが明らかになっている。反応効率が悪い基質は条件検討を詳細に行い、循環送液法を検討するなどの工夫を加え一般性ある方法論として確立する。
さらに、Pt/CBを触媒として10WのMW照射下、MCHに溶解したアルキルアジド化合物を送液すると、アジド基と隣接するメチレンからシアノ基が形成されることを見いだしている。この反応ではMCHから精製する水素によるアジドの還元反応を抑制する必要はあるが、アジド化合物から一炭素減炭したニトリル化合物を合成する、新しい官能基変換法の確立が可能であり詳細に検討する。
令和3年度は上述の検討予定項目を優先するが、申請当初より計画している「Pt/CBに代わる新規触媒活性探索 研究」にも前倒しで取りかかりたい。
① 金属種・担体を換えた新たなビーズ状固体触媒の活性と反応性を確認する。脱水素・接触水素化・C-C結合形成・脱カルボニル・重水素標識反応への触媒適性を検討する。
② 金属未担持のMWを吸収しやすい担体(特に炭素素材が有効である)を使用して、局所高温反応場を構築し、熱的に進行する様々な反応を遂行する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)

  • [雑誌論文] マイクロ波と球状活性炭を利用した白金触媒的連続フロー式水素製造法2020

    • 著者名/発表者名
      市川智大, 寺西航, 山田強, 佐治木弘尚
    • 雑誌名

      触媒

      巻: 62 ページ: 291-296

    • 査読あり
  • [学会発表] マイクロ波を利用した省エネルギー・省スペース型連続反応系の開発2020

    • 著者名/発表者名
      佐治木 弘尚
    • 学会等名
      京大・生存圏研究所「持続的生存圏創成のためのエネルギー循環シンポジウム」
    • 招待講演
  • [学会発表] 固体触媒反応場を有効活用した連続精密生産プロセスの開発2020

    • 著者名/発表者名
      佐治木 弘尚
    • 学会等名
      日本医薬品原薬工業会講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 医薬品原薬のフロー合成」 ―1日でわかるフロー合成の要素技術からシステム・情報まで―2020

    • 著者名/発表者名
      佐治木 弘尚
    • 学会等名
      第52回Continuing Educationシリーズ講習会
    • 招待講演
  • [学会発表] Development of Energy and Space Saving Chemical Conversion Methods Based on C-H activation with New Devices2020

    • 著者名/発表者名
      Hironao Sajiki
    • 学会等名
      An International Conference (Virtual) on the Present and Future of Excellence in Organic Synthesis (PFEOS-2021)
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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