研究課題/領域番号 |
20H03370
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
稲垣 冬彦 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (80506816)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Z型配位子 / 異常高酸化数 / 金属錯体 / 触媒反応 |
研究実績の概要 |
今年度の検証結果により、大まかに下記に示す2テーマを立ち上げることができた。詳細を下記にしめす。 1. 両イオン性のカウンターイオンを含む(P+B-P+)CuCl3の合成と、それを触媒に用いたケテンシリルアセタール類とケトン類との向山-アルドール反応 Z型配位子と銅原子を組み合わせCu(DPB)Clに酸化剤を施し、異常抗酸化数を志向したCu(DPB)Cl3の合成を企図したところ、予期せず両イオン性のカウンターイオンを含む(P+B-P+)CuCl3の合成に至った。これはカチオンとアニオンを同一分子に併せ持つ興味深いカウンターイオンを有している。そこで、これを銀塩と組み合わせて新規触媒反応として使用を試みたところ。向山-アルドール反応に適用可能であることを見出した。本触媒系ではバルキーなケトンも使用可能であった。現在、データを取得し論文投稿準備中である。 2. Z型配位子含有不斉金属錯体の合成および金属カルベン中間体を企図した新規触媒反応 Z型配位子を用いた不斉金属触媒反応の例はない。そこで、不斉場を組み込んだZ型配位子を合成し、金属錯体の合成を試みた。その結果、Z型配位子にアンチモンやビスマスを用いた場合に錯体形成が可能であることを見出した。また金属カルベン経由の触媒反応が不活性アルコールやチオール、アミンを用いても進行することが明らかになりつつある。現在、更なる条件の精査とキラリティ創出条件の探索を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画とは方向性が異なるものの、到達目標であった活性の高い新規反応性の創出が可能になりつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
前者の(P+B-P+)CuCl3を用いた向山-アルドール反応については、今後詳細にデータを取得し、今年度中に論文化する。また関連錯体を合成し、新たな反応性創出も試みる。 後者の不斉触媒反応では、更なる錯体形成のため、酸化剤を用いて異常高酸化数志向型のZ型配位子含有金属錯体の合成を目指す。またその錯体を用いた不斉触媒反応開発にも展開する。
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