研究課題/領域番号 |
20H03377
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
安達 基泰 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 上席研究員 (60293958)
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研究分担者 |
岡島 俊英 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (10247968)
高橋 知里 同志社女子大学, 薬学部, 特任助手 (70833680)
老川 典夫 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (80233005)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | neutron / crystal / protein / hydrogen / drug |
研究実績の概要 |
1、human Dihydrofolate Reductase (hDR)に関しては、昨年度作製したhDの大腸菌発現系を利用して、結晶化用の試料を調製した。既存のスクリーニングキットを使い、結晶化を試みたところ、複数の結晶が取得できた。放射光施設で結晶を評価したところ、多くが多結晶であったものの、解析可能な単結晶がみつかり、回折データの収集とX線結晶構造解析を実施した。その結果、目的としている葉酸とNADPとの3者複合体であることを確認した。 2、human Monoamine Oxidases (hMO)については、中性子結晶構造解析に必要な大型結晶の作製に取り組むために、大腸菌発現条件の検討をすすめた。培養温度などの条件を検討したが、顕著な改善は見られなかったため、大腸菌での発現系の構築を保留し、ラン藻を用いた系を試すことにした。昨年度合成したhMOの人工遺伝子をもちいて、ラン藻の発現ベクターにサブクローニングによって導入した。 3、human Cytochrome P450 2D6 (2D6)創薬標的酵素においては、微量ながら精製タンパク質を得ることができた。 4、Amino acid Racemase (AR)に関しては、将来の有用化合物合成のための分子設計を見据えて、特徴的なドメイン構造と多量体構造をもつ酵素に着目し、断片化したタンパク質の調製と光散乱を用いた分子量の測定を実施した。その結果、断片化したタンパク質を見積もることができ、さらにおおまかな全体構造(多量体構造)を把握することができた。 5、human DOPA decarboxylase (DDC)においても、試料の合成量を増強するために、昨年度合成した人工遺伝子をもちいて、ラン藻の発現ベクターにサブクローニングによって導入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究での成果創出のためには、均一性が高く高純度のタンパク質試料の調製が要となる一方で、十分な量のタンパク質試料が必要となる。R3年度は、大腸菌発現系の改良やそれを用いた試料調製をすすめた。その結果、hMO、DDCの3種については、中性子結晶構造解析用の大型結晶を作製するためには、発現レベルが低く、大腸菌を用いた系では実現が難しいと判断されたため、ラン藻を用いた系の構築をすすめた。hDRに関しては、2種のリガンドが結合した状態でX線結晶構造解析に成功したことが、中性子構造解析に加え、将来の光物理学的アプローチを想定すると、大きな進展と言える。以上のことより、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
1、hDの3者複合体のX線結晶構造解析に成功したことから、タンパク質試料を大量精製し、中性子結晶構造解析のための大型結晶の取得や、予備的な過渡吸収実験をすすめる。一方で、リガンドについては、NADPHやこれまで試していない阻害剤との複合体も検討する。 2、hMOに関しては、タンパク質の発現レベルが十分でないことから、R3年度に進められなかったシャペロンとの共発現や、R3年度に作製した発現プラスミドを用いて、ラン藻をもちいた試料調製系の構築をすすめ、試料の大量調製系の確立をすすめる。 3、2D6については、タンパク質試料の調製に難航しているため、R3年度と同様の方針として、バッチ法を用いた迅速な精製法の確立や、得られた試料を用いた活性測定にくわえ、ITCやBiacoreを用いた相互作用解析を実施し、さらにデューテトラベナジン(D体)およびテトラベナジン(H体)とのX線結晶構造解析を実施することで、相互作用を詳細に明らかにする。 4、ARついては、得られている大量発現系を使い、中性子結晶構造解析のためのタンパク質試料調製と大型結晶の作製をすすめる。 5、DDCにおいては、hMOと並行させて、ラン藻をもちいた試料調製系の構築をすすめ、試料の大量調製系を確立する。
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