研究課題/領域番号 |
20H03390
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中川 貴之 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30303845)
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研究分担者 |
金子 周司 京都大学, 薬学研究科, 教授 (60177516)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 末梢神経障害 / トランスレーショナルリサーチ / 感覚障害 / シュワン細胞 / 予防/治療薬開発 |
研究実績の概要 |
それぞれ進捗状況が異なる3系統の予防/治療薬候補について下記の検討を行った。 1)末梢血流障害改善/シュワン細胞再分化作用に基づくPDE阻害薬の有効性の検証;PDE阻害薬について、既にタキサン系/白金系抗がん剤による抗がん剤誘発末梢神経障害(CIPN)動物モデルでの有効性は確認済みであるが、抗がん剤の抗腫瘍効果に影響はないことを確認した。また、末梢血流障害がCIPNに進展に関与すると考えており、本研究では後肢冷却後の血流低下からの回復がCIPNモデルマウスで遅延することを確認し、神経性の欠陥応答に異常が生じていることを見出した。また、電子カルテを用いた後方視的調査研究で、オキサリプラチンとPDE阻害薬を併用しているがん患者は数名しかおらず、血管拡張薬(ACE阻害薬、ARB、Ca阻害薬等を含む)に対象を広げて再解析したが、CIPN発症率への有効性は見出せなかった。 2)シュワン細胞分化誘導薬による末梢神経障害予防/治療薬の開発:化合物ライブラリーのスクリーニングにより発見したシュワン細胞分化誘導薬Xを、CIPN動物モデルを用いて検討した所、機械的過敏応答が抑制され、有効性があることが確認できた。また、化合物Xのシュワン細胞分化の分子機構を解析した。 3)FAERS解析から導き出された候補薬の基礎研究:FAERS解析からCIPN治療薬候補として推奨された低分子ヘパリンについて、CIPN動物モデルでの有効性は予備的検討ながら確認済みである。しかしその効果は一過性であり、期待通りの効果は得られなかった。一方、FAERS解析によりボルテゾミブによるCIPNに対して特異的な有効性が見出された候補薬は、全身性投与および脊髄くも膜下腔内投与によっても、一過性ながら強力な抑制作用が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カルテ調査やFAERS解析で得られた候補薬について、一部、期待通りの結果は得られなかったが、それ以外の研究計画については概ね順調に進展しており、新たな視点からの研究結果も得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
FAERS解析で得られた候補薬は当初の低分子ヘパリンは断念し、新たな候補薬3について計画通りに検討を進める。
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