研究課題
本研究は、神経ペプチド受容体であるVPAC2の遺伝子重複を有する統合失調症患者由来iPS細胞の活用と、VPAC2受容体の過剰活性化を病態基盤とするオリジナルなモデルマウス(個体・細胞)とを用いる双方向性トランスレーショナルリサーチの展開から、病態理解と創薬のための確度の高いモデルの確立を目指し、さらに、安全で有効な脳への新規ドラッグデリバリーシステムの基盤構築を通じて、臨床応用に資する薬物治療技術を開発することを目的としている。これまでに、患者由来iPS細胞から作製した神経幹細胞において、内因性リガンドであるVIPによる細胞増殖能が低下していることを見いだしたことから、脳発達期におけるVPAC2受容体増加の影響を明らかにするため、神経幹細胞特異的にヒトVPAC2受容体を過剰発現するマウスを作製し、小動物用MRIを用いた脳の解剖学的構造と行動学的変化について検討を行った。その結果、胎生期中枢神経系におけるVPAC2受容体の過剰発現は、全脳体積の減少や海馬の萎縮、感覚情報処理機能の障害を引き起こすことが明らかとなった。また、代表者らが新規に創製したVPAC2受容体アンタゴニストペプチドKS-133 (分子量:約1559 g/mol)が、経鼻投与によって脳へ移行し、統合失調症モデルマウスの認知機能障害を改善させることを見いだした。KS-133はペプチドであることから、末梢からの投与では血液脳関門の通過は困難であった。そこで、KS-133を効率的・効果的に脳へデリバリーするため、脳移行性ペプチドを付与しKS-133を内包するミセル化合物について検討し、皮下投与によって血液脳関門を通過できる方法(処方)を開発し特許出願を行った。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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