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2021 年度 実績報告書

学習・記憶制御機構におけるグアニン四重鎖の機能解明と創薬研究

研究課題

研究課題/領域番号 20H03393
研究機関熊本大学

研究代表者

塩田 倫史  熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (00374950)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードグアニン四重鎖 / 神経機能
研究実績の概要

よく知られた一般的な DNA の形態は、「 B 型 DNA 構造」と呼ばれる右巻き 2 重らせん構造体である。一方、DNA はそれ以外にも様々な立体配座「非 B 型 DNA 構造」を取り得ることが明らかになっている。さらに、RNA に関しても A 型 2 本鎖 RNA を形成するステムループだけでなく様々な RN A構造体が同定され ており、生命現象に深く関与する。近年、非 B 型 DNA・RNA 構造のひとつであるグアニン四重鎖(G-quadruplex:G4)構造の生物学的機能が注目されている。グ アニン四重鎖はグアニンが豊富な配列領域で DNA・RNA が形成する特殊な核酸高次構造のひとつであることが知られている。研究代表者は、脳機能における学 習・記憶に G4 構造が関与することを報告した(Shioda et al., Nat. Med. 2018; Shioda et al., Sci. Adv. 2021)。本研究では G4 構造の学習・記憶における役割を明らかにするため、G4 構造 と神経可塑性との関与を解析し、G4 構造による 「DNA 可塑性」の存在を証明する。さらに、申請者が見出した G4 構造作用薬の薬理学的検討を行う。つまり、 G4 構造 が脳機能における学習・記憶の分子実態のひとつであることを生物学的・及び薬理学的に明らかにする。認知症に対する有効な脳機能改善薬の開発が求 められているが、学習・記憶の分子レベルにおける実態は未だ明らかにされていない。この成果は、「G4 構造」を認知症などの脳機能異常疾患におけるアンメッ ト・メディカル・ニーズ治療薬の新たな標的として社会に提示できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

神経細胞における新しい G4 ChIP-seq 法を確立した。この手法により、神経細胞における G4DNA のゲノムマッピングができた。今後、神経細胞における G4 の機能的意義に迫る。

今後の研究の推進方策

今後、より記憶に近い刺激である LTP 刺激を脳海馬スライスで行い、G4 ChIP-seq による G4 形成ピークと RNA シーケンスによる転写発現レベルとの相関を検討する。これらの実験により、記憶形成刺激により DNA に可塑性が生じることを証明できるだけでなく、 DNA 可塑性に関連する遺伝子群が同定できる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Antiviral activity of 5-aminolevulinic acid against variants of severe acute respiratory syndrome coronavirus 22022

    • 著者名/発表者名
      Ngwe Tun Mya Myat、Sakura Takaya、Sakurai Yasuteru、Kurosaki Yohei、Inaoka Daniel Ken、Shioda Norifumi、Yasuda Jiro、Kita Kiyoshi、Morita Kouichi
    • 雑誌名

      Tropical Medicine and Health

      巻: 50 ページ: 6

    • DOI

      10.1186/s41182-021-00397-x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Father-to-offspring transmission of extremely long NOTCH2NLC repeat expansions with contractions: genetic and epigenetic profiling with long-read sequencing2021

    • 著者名/発表者名
      Fukuda Hiromi、Shioda Norifumi、Matsumoto Naomichi、Mizuguchi Takeshi et al.
    • 雑誌名

      Clinical Epigenetics

      巻: 13 ページ: 204

    • DOI

      10.1186/s13148-021-01192-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Potential roles of G-quadruplex structures in RNA granules for physiological and pathological phase separation2021

    • 著者名/発表者名
      Asamitsu Sefan、Shioda Norifumi
    • 雑誌名

      The Journal of Biochemistry

      巻: 169 ページ: 527~533

    • DOI

      10.1093/jb/mvab018

    • 査読あり
  • [学会発表] 神経疾患の新しい治療標的 ~グアニン四重鎖~2021

    • 著者名/発表者名
      塩田倫史
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会・CJK第1回国際会議
    • 国際学会
  • [学会発表] 神経生物学におけるDNA・RNA 高次構造の機能解明を目指して.2021

    • 著者名/発表者名
      塩田倫史
    • 学会等名
      日本ケミカルバイオロジー学会第15回年会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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