研究課題
RNAの構造は、翻訳過程・メッセンジャーRNA(mRNA)の分解・炎症反応など多面的な生理的機能に関与する。特にグアニンが連続した配列は、「グアニン四重鎖構造(G4)」と呼ばれる4本鎖構造を形成することがある。ヒト細胞の約2,300種類のmRNA中にはG4が約3,800カ所形成されることが予測されている。しかし、mRNA中に存在するG4の役割は未解明である。本年度の研究により、G4がストレスに応答して細胞に形成される「ストレス顆粒」の核となり、その形成を制御することを見出した。また、ストレス顆粒の形成が妨げられると、神経細胞のストレス刺激による機能低下が促進されることを発見した。ストレス顆粒の形成は筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患の発症と密接に関与することが指摘されている。ストレス顆粒にG4が集積する機構を解明できれば、神経変性疾患の新しい治療法の開発につながる可能性がある。また、認知症に対する有効な脳機能改善薬の開発が求められているが、学習・記憶の分子レベルにおける実態は未だ明らかにされていない。私達は、脳機能における学習・記憶に、G4が関与することを発見した。今後、脳機能における学習・記憶の分子実態のひとつであることを生物学的・及び薬理学的に明らかにしていく。さらに、私達が見出したG4作用薬の薬理学的検討を行う。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Science Advances
巻: 9 ページ: eade2035
10.1126/sciadv.ade2035.
CNS Neurosci Ther.
巻: in press ページ: in press
10.1111/cns.14120.
Nucleic Acids Res.
巻: 50 ページ: 8143-8153.
10.1093/nar/gkac580.
Trop Med Health.
巻: 50 ページ: 6
10.1186/s41182-022-00422-7.