研究課題
慢性腎臓病(CKD)は早期老化の表現型であり、高頻度で筋萎縮・筋力低下(サルコペニア)を合併する。サルコペニアの病態進行は寝たきりや転倒、骨折リスクのみならず、死亡リスクも高めることが知られている。超高齢社会を迎えた本邦においても、CKDが誘発するサルコペニア対策は喫緊の課題であるものの、その病態形成機構(腎筋連関)については未だ不明な点が多く、病態形成機序に基づいた新たな診断と治療戦略の開発が希求されている。最近我々は、CKD誘発サルコペニアの病態進展には、蛋白質過酸化物(AOPPs)の関与を明らかにしてきた(J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2021)。今回は透析患者83名(内訳:サルコペニア48名、プレサルコペニア16名、非サルコペニア19名)を対象に、血清AOPPs活性及びアルブミン酸化度(システイン付加アルブミン: Cys-albumin)と握力及び骨格筋量指数(SMI)の関係性を評価した。血清AOPPs活性は男女ともに握力及びSMIと有意な負の相関を示した。一方で、アルブミン酸化度は握力と有意な負の相関を示し、SMIとは相関傾向を示した。ROC解析の結果、サルコペニアの診断(非サルコペニア→サルコペニア間)に関しては、AOPPs、アルブミン酸化度及びC反応蛋白質(CRP)/アルブミン比で高いAUCを示した。さらに、CRP/アルブミン比にアルブミンの酸化還元状態の情報を組み込みCRP/(albumin×{Reduced Albumin/ (Oxidized albumin+Reduced Albumin)})とすることで、サルコペニア診断マーカーとしての信頼性が向上することが示された。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Heliyon
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http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/Labs/Yakuzai/