研究課題
骨格筋の形成におけるZIP13の役割:骨格筋特異的Zip13-KOマウスを用いてインスリン抵抗性を解析した結果、本マウスにインスリン応答の顕著な低下を確認した。本マウスの活動量と酸素消費量を解析した結果、それらの低下を確認した。さらに、EDSSPD3患者由来iPS細胞株から分化させた骨格筋細胞において、糖取り込み能の低下を確認した。すなわち、ZIP13が骨格筋の糖代謝に関与することが示唆された。骨格筋の喪失におけるZIP14の役割:Zip14-GFP-KIマウスを作成し、本マウス由来細胞にGFP陽性の細胞集団を確認した。さらに、薬剤誘導性ZIP14発現細胞を適用して、ZIP14の発現に依存した亜鉛導入を確認するとともに、ZIP14を介した亜鉛導入による細胞増殖抑制作用を確認した。この薬剤誘導性ZIP14発現細胞を用いることにより、ZIP14に依存した亜鉛の過剰導入による細胞増殖障害作用を指標にしたZIP14阻害剤のスクリーニング系の構築が可能になると考える。表皮と毛包の形成におけるZIP10の役割:ZIP10発現細胞の子孫細胞を可視化するために、Zip10-GFP-KIマウスとTd-Tomato-KIマウスを交配してZip10-GFP/Tomato-KIマウスを作成した。本マウスにタモキシフェンを投与し、皮膚におけるGFPとTomatoの発現を免疫染色法で解析した結果、本来ZIP10が発現する毛包外根鞘とは異なる部位にTomatoの発現を確認した。すなわち、ZIP10発現細胞の子孫細胞が、毛包外根鞘以外の部位に移動していることが示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
コロナ禍で研究活動そのものが危ぶまれたが、このような状況下でも多くの新しい知見を得ることができた。具体的には、骨格筋特異的Zip13-KOマウスの糖代謝の低下が示されたこと、ZIP10発現細胞の子孫細胞が毛包外根鞘以外の部位に存在すること、ZIP14阻害剤のスクリーニング系を構築したことが成果として挙げられる。作成した遺伝子改変マウスや化合物スクリーニング系は、今後の研究展開に大きく貢献すると考えている。
骨格筋の形成におけるZIP13の役割:EDSSPD3患者由来のiPS細胞株を用いて遺伝子発現の変化を解析し、ZIP13の影響を受けるシグナル経路を同定して、筋形成におけるそれらの役割を解明する。さらに、骨格筋形成におけるZIP13発現細胞の役割を明らかにするために、Zip13-GFP/Tomato-KIマウスの形成過程におけるZIP13発現細胞の役割を解明する。このマウスの骨格筋からZIP13発現細胞を単離し、single cell analysisによってZIP13発現細胞の特徴を解析する。骨格筋の喪失におけるZIP14の役割: Zip14-GFP-KIマウスとTd-Tomato-KIマウスを交配して、Zip14-GFP/Tomato-KIマウスを作成する。このマウスを用いてがん悪液質モデル実験を実施し、骨格筋の萎縮過程におけるZIP14発現細胞の役割を解明する。さらに、本マウスの骨格筋からZIP14発現細胞を単離し、single cell analysisによってZIP14発現細胞の特徴を解析する。加えて、ZIP14の亜鉛シグナルを制御する分子を単離して、それらの分子機序を解析する。表皮と毛包の形成におけるZIP10の役割:Zip10-GFP/Tomato-KIマウスの表皮と毛包からGFPとTomatoを指標にしてZIP10発現細胞をソーティングし、single cell analysisによってZIP10発現細胞の特徴を解析する。さらに、ZIP10の亜鉛シグナルの標的分子を単離し、それらの機能を解析してZIP10の亜鉛シグナリングの分子機序を解明する。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Journal of Dermatological Science
巻: 98 ページ: 203-206
10.1016/j.jdermsci.2020.04.010.
http://p.bunri-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2020/05/TBUph519_Press-release.pdf
http://p.bunri-u.ac.jp/4937/