骨格筋の形成におけるZIP13の役割: Zip13-KOマウスを用いて筋損傷モデル実験を行った結果、筋再生過程に支障があることが判明した。また、ZIP13発現細胞をモニターできるZip13-GFP/Tomato-KIマウスを用いて骨格筋を解析した結果、筋サテライト細胞がZIP13を発現すること、ZIP13の発現が休止期の筋サテライト細胞で上昇することを見出した。さらに、EDSSPD3患者由来iPS細胞株を骨格筋細胞に分化誘導させ、その性状を正常IPS細胞由来の骨格筋細胞と詳細に比較検討したその結果、骨格筋分化の指標となるMyoDやMyogenin等の骨格筋制御因子の発現が、患者iPS細胞株由来の骨格筋細胞で有意に減少していることを見出した。すなわち、ZIP13が筋サテライト細胞を介する筋再生や形成に重要である可能性が示唆された。 ZIP14を標的とする創薬研究:薬剤誘導性ZIP14発現細胞と薬剤誘導性ZIP8発現細胞を適用して、ZIP14に依存した亜鉛や鉄等の金属輸送を得意的に阻害する化合物のスクリーニングを実施した。約3万の化合物をスクリーニングした結果、ZIP14の金属輸送能を特異的に阻害する化合物を同定した。 表皮と毛包の形成におけるZIP10の役割:ZIP13発現細胞をモニターできるZip10-GFP-KIマウスにTd-Tomato-KIマウスを交配して、ZIP13発現細胞とその子孫細胞を追跡できるZip10-GFP/Tomato-KIマウスを作成した。本マウスにタモキシフェンを投与し、皮膚組織におけるGFPとTomatoの発現を解析した結果、ZIP10の発現が認められた毛包外根鞘とは異なる部位にTomatoの発現を認めた。ヒゲ部と背部皮膚を組織透明化実験で観察した結果、Tomatoは幹細胞集団が存在するバルジ付近に集積していた。すなわち、毛包外根鞘に存在するZIP10発現細胞は、毛包の形成過程においてバルジ領域に移動する可能性が示唆された。
|