研究課題
本研究では、独自に開発したPlxnd1プロモーター(以下PP)による大脳皮質頭葉間神経回路の操作系を用いて「個々のニューロンを単位とした解析」を行い、その軸索投射様式と入力出力回路の同定も含めた神経回路網の解明、さらにその形成・発達の過程を解き明かす。令和3年度の実績を記す。(実験1)PPにて標識されるS1→M1回路の投射先の検討。昨年度に引き続き実施。PPのもとでtTA(テトラサイクリン制御性トランス活性化因子)を発現するPlxnd1-tTAマウスにCreに応じてマーカー分子を発現するAi14マウスを掛け合わせたマウスは作製済みである。このマウスに対しtTAに応じてCreを発現させる分子系として、後シナプス側にCreを発現させうるAAV-TRE-TAT-WGA-Creをin utero electroporationにてマウス脳に導入し、S1→M1回路のM1での接続細胞を検出する実験を進めた。ドキシサイクリン(テトラサイクリンの代用)の投与により目的とする任意の発達時期にPPにて標識されるS1→M1回路の投射先が可視化できた。(実験2)PPにて標識されるS1→M1投射神経細胞への入力元の検討。Plxnd1-CreERT2マウスに対して、Cre-depnedentなAAV-mGRASPによる条件検討を行った。明瞭な結果が得られず、引き続き条件の検討を行った。(実験3)S1→M1のサブタイプを標識しうる新たなプロモーターの探索と応用。Plxnd1発現細胞のサブタイプを遺伝子発現から探索するべく、single cell RNAseqデータの解析を行っている。候補遺伝子を20程度リストアップした。(実験4、5)側枝形成に係る局所環境の検討と回路網形成について。EphA7-efnA5の皮質内発現を詳細に調べた。論文発表を行い、かつ大脳皮質内回路へ応用できるか予備研究をすすめた。
3: やや遅れている
新型コロナウイルスへの対応のため、大学への立ち入りが一年を通して、当初の計画通りには認められず、十分に研究実施時間を確保できなかった。また、年度後半は動物施設の改築、移転があり一旦動物をすべて精子・卵子の状態賭する必要があり、この作業が大変であった。
新型コロナウイルスに伴う活動制限は、特に研究室の存在する大阪では実施される可能性が高いが、できるだけ集中し、かつより綿密に計画をたてて実験を実施する。また、研究者間の情報共有や最新の知見の獲得についてもZoomを援用するなど、実質的な活動に支障がない形となるようできるだけ工夫し、実施に努める。
すべて 2021 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (3件)
Journal of Neuroscience
巻: 41(22) ページ: 4795-4808
10.1523/JNEUROSCI.0367-20.2021
Journal of Neurochemistry
巻: 159(4) ページ: 778-788
10.1111/jnc.15505
Cerebral Cortex
巻: 31(11) ページ: 5225-5238
10.1093/cercor/bhab153
Human Genetics
巻: 140(2) ページ: 277-287
10.1007/s00439-020-02198-4
https://www.ugscd-osaka-u.ne.jp/crnacdd/achievements/seika210907.html
https://www.ugscd-osaka-u.ne.jp/crnacdd/achievements/seika210706.html
https://www.ugscd-osaka-u.ne.jp/crnacdd/achievements/seika210603.html