研究課題/領域番号 |
20H03423
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
金丸 和典 日本大学, 医学部, 准教授 (10456105)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | in vivoイメージング / カルシウムシグナル / β細胞 / インスリン / ランゲルハンス島 / 膵臓 / インスリン・パルス / イメージング手法 |
研究実績の概要 |
本研究では、膵β細胞の生体内(in vivo)カルシウムイメージング法を新たに開発することで、従来“見ることができなかったために未解明であった” 体内インスリン動態の謎に迫る。特に、血中インスリン・パルスとβ細胞活動パターンの相関解明にフォーカスする。 これを達成するために掲げた本年度の目標は、膵in vivoイメージング手法をさらに洗練し、また、覚醒下マウスの行動のなかでもイメージングが可能なように、光学系を最適化することであった。イメージング用の恒常的ウインドウ作製のためのプロトコルに改良を重ね、安定性の向上を成功させた。これにより、麻酔下だけでなく、覚醒下でも同一個体における繰り返しイメージングも可能となった。さらに、空腹状態のマウスでイメージングしながら給餌を行った場合のカルシウムシグナルの変動も記録できるようになり、現在解析を急いでいる。 また、イメージング解析終了後のマウスで膵臓にダメージがないかなどを検証するための免疫組織学的解析も行った。スループット性向上のため、これにはマイクロスライサーを新規購入した。時間のかかる凍結切片作製に代わって、組織スライスでの組織学的観察ができるようになった。 このように、極めて順調に研究が進展し、新たな知見を多く得ている。その知見の一部は第94回日本薬理学会年会において発表した。また、一部の結果を論文発表する準備を進めている。この研究を引き続き鋭意推進し、インスリンの分泌機構および体内動態の理解を深め、糖尿病治療戦略に繋がる新規知見を得られるよう努める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
イメージング用の恒常的ウインドウ作製プロトコルの改良による安定性向上という今年度目標を達成し、上述の新規知見を得ることに成功したため。さらに、組織学的解析手法のブラッシュアップもできているため。
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今後の研究の推進方策 |
麻酔下および覚醒下でのイメージング解析を進める。特に今年度は、様々な阻害薬の投与、空腹・摂食などが膵臓カルシウムシグナルに与える影響を詳細に解析し、シグナルパターンを抽出する、およびインスリン・パルス成因を特定することに注力する。また、肝イメージングに用いるシグナル解析ツールを培養系において検証し、in vivo適用に向けた準備を完了させる。さらに、血中インスリン濃度測定にも着手する。
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