Two pore channel (TPC3) の膜電位センサーの動的構造変化に焦点をあて、以下の研究を行った。第2リピートの膜電位センサー上のQ507の位置に蛍光をラベルしたコンストラクトを用いたVoltage Clamp Fluorometry (VCF) 解析により、蛍光変化-膜電位関係のプロットにおいて2つの成分が存在すること、その第2相が第1リピートへのPIP2の結合により左側にシフトすること等を明らかにし、その成果を論文として発表した。 さらに、第2リピートの膜電位センサーの動きの2つの相の詳細等を明らかにするために、膜電位固定下tmFRET法の適用に取り組んだ。まず、donor となる蛍光非天然アミノ酸 (fUAA) を第2リピートの膜電位センサーの細胞外側寄りの各アミノ酸残基に一か所ずつ導入し、最適位置としてSer506もしくは Gln508を選択した。次にacceptorとなるTETAC-Cu2+を結合させるためにCys残基を導入する位置の候補を、構造のホモロジーモデル上で上記fUAAの近傍にあることを条件に検討し、第1リピートの第5膜貫通部位の細胞外側寄り、第2リピートの第3膜貫通部位の細胞外側寄りとすることとした。現在、その中から最適コンストラクトの探索を進めている。 また、膜電位センサーを持たないATP受容体チャネルP2X2の動的構造変化と膜電位依存的ゲーティングの分子基盤に関する、fUAAを用いた膜電位固定下蛍光解析法による研究成果をとりまとめ、論文として発表した。 さらに、Gタンパク質結合型内向き整流性K+チャネルを対象に、Gly156Ser等の病態変異体のイオン選択性の異常が第2のイオン透過路の形成によることを明らかにし、論文として発表した。
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