研究課題
本研究課題達成のために令和4年度は下記の検討を行った。まず脂肪細胞分化におけるCNOT4の役割をマウス線維芽細胞の分化実験系で解析したところ、Cnot4ヘテロ欠損により脂肪細胞への分化が抑制された。Cnot4ヘテロ欠損は分化前の線維芽細胞の増殖には影響を与えなかったことから、分化に伴う増殖にCNOT4が重要であることが分かった。一方で、成熟脂肪細胞においては、Cnot4ヘテロ欠損によりサイトカイン産生が抑制されていた。したがって、Cnot4ヘテロ欠損による肥満耐性には、脂肪前駆細胞の分化増殖の抑制と成熟脂肪細胞のサイトカイン産生抑制が重要であると考えられた。分子メカニズムとしては、Cnot4による核内のエピゲノム制御が重要であることが分かった(論文作成中)。また、インフルエンザウイルス感染において、CNOT4が核内でのウイルス複製に対する制御作用を有することを見出した。次に、成体マウス心臓から単離した線維芽細胞をAng IIで刺激したところ、CNOT6L遺伝子を欠損した心臓線維芽細胞において線維化誘導因子Fsfの発現上昇を認め、CNOT6Lは線維芽細胞におけるFsfの発現調節により、心筋の脱落に伴う過剰な線維化を抑制することで心臓リモデリングの制御に重要な役割を果たすと考えられた。そこで、CRISPR/Cas9でCNOT6Lを欠損したHEK293T細胞を作製し、Fsf遺伝子のpromoter領域あるいは3’UTRのレポーターアッセイを行ったところ、3’UTRのレポーター活性の上昇を認めた。また、poly(A) tail assayにより、Fsfのpoly(A)鎖がCNOT6L欠損により伸長していることが分かった。よって、CNOT6LはFsfの3’UTRに存在するcis-elementを介した脱アデニル化を誘導し発現を抑制し抗線維化作用をもたらすことが分かった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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