• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

学習や環境変化によるシナプス分子のナノレベルでの微細配置の変容

研究課題

研究課題/領域番号 20H03427
研究機関東京大学

研究代表者

廣瀬 謙造  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (00292730)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードシナプス / 超解像イメージング / ナノ微細配置
研究実績の概要

本年度はマウス脳凍結切片でのシナプス分子局在を超解像顕微鏡で可視化解析を行うためのプラットフォームの確立を目指して研究を実施した。
マウス脳の各部位でのシナプス分子を単一分子局在化法を測定原理とする超解像イメージング法である確率的光学再構築顕微鏡法(STORM法)で可視化解析するために、マウス脳の凍結切片を用いてシナプス分子の蛍光免疫染色条件を最適化した。ここでは、主に神経伝達物質の放出に関わる分子群やシナプス後部の神経伝達物質受容体などのシナプス分子を対象として、個々の分子についてSTORM法に適用できるレベルの染色効率や特異性が得られるように染色条件を最適化した。続いて、複数種類の分子のシナプスでの共局在の様子を調べるために、二重・三重染色に最適な一次抗体及び二次抗体組み合わせの探索を行った。テストを通じて最適な撮像条件を決定し、得られた超解像イメージから微細構造間の位置関係を解析するために統計的手法を組み入れた解析系も構築した。具体的には、3重染色標本に対するSTORM法に適した蛍光明滅特性(放出光子数、蛍光輝点密度)で、チャネル間での蛍光シグナルの漏れ込みを最小化できるように二次抗体標識に用いる蛍光色素の種類や光学フィルタ―を選定し、撮像条件の最適化を行う。また、Pair correlation関数(PCF)や周波数解析を利用して、異なる複数種類の分子の微細配置の空間相関解析を可能にした。今年度の実績によって、次年度以降の実証的な研究へ進むことが可能になった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度に計画していたマウス脳凍結切片でのシナプス分子局在の可視化解析プラットフォームの確立が順調に進んだため。

今後の研究の推進方策

マウスが条件学習をした際や飼育環境の違いによってシナプス分子の微細配置にどのような変化が生じるのかをSTORMイメージングによって調べる。まず、強力な条件学習として汎用されている恐怖条件付け文脈学習のタスクを課したマウスで扁桃体内中心核と、文脈学習に重要な役割を担っていると考えられている海馬を中心にシナプス分子の微細配置の変化を調べる。学習成立した後から恐怖学習の消去を担っている腹内側前頭前野辺縁下部でのシナプス分子の微細配置がどのように変化しているのかを経時的に調べ、恐怖記憶の消去のタイムコースとシナプス分子の微細配置との関係を明らかにする。次に恐怖学習タスクより穏やかな外部刺激であるエンリッチ環境下での飼育がシナプス分子の微細配置にもたらす変化をSTORMイメージングによって調べ、エンリッチメント環境下での飼育によってシナプス分子の微細配置の位置関係にどのような変化が生じるのかを明らかにする。

備考

東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻細胞分子薬理学分野
http://www.pharmacol.m.u-tokyo.ac.jp/

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Real-time in vivo imaging of extracellular ATP in the brain with a hybrid-type fluorescent sensor2020

    • 著者名/発表者名
      Kitajima Nami、Takikawa Kenji、Sekiya Hiroshi、Satoh Kaname、Asanuma Daisuke、Sakamoto Hirokazu、Takahashi Shodai、Hanaoka Kenjiro、Urano Yasuteru、Namiki Shigeyuki、Iino Masamitsu、Hirose Kenzo
    • 雑誌名

      eLife

      巻: 9 ページ: Free PMC

    • DOI

      10.7554/eLife.57544

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Rational Design of a Near‐infrared Fluorescence Probe for Ca2+ Based on Phosphorus‐substituted Rhodamines Utilizing Photoinduced Electron Transfer2020

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Shodai、Hanaoka Kenjiro、Okubo Yohei、Echizen Honami、Ikeno Takayuki、Komatsu Toru、Ueno Tasuku、Hirose Kenzo、Iino Masamitsu、Nagano Tetsuo、Urano Yasuteru
    • 雑誌名

      Chemistry An Asian Journal

      巻: 15 ページ: 524~530

    • DOI

      10.1002/asia.201901689

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi