研究課題
令和2年度には、非選択的ROCK阻害薬fasudilと同様、選択的ROCK2阻害薬KD025は各種統合失調症動物モデルにおいて抗精神病薬様作用、認知機能改善作用および社会性障害改善作用を示すことを確認した。令和3年度には、fasudilおよびKD025が側坐核における脱分極性ドーパミンおよびセロトニン遊離に及ぼす影響をin vivo dialysis法を用いて明らかにした。また、ARHGAP10遺伝子変異を有する病態モデルマウスの大脳皮質神経細胞のスパイン密度の減少に対する両薬物の効果を調べた。FasudilとKD025は、何れも野生型マウスのスパイン密度には影響せず、病態モデルマウスのスパイン密度の減少を有意に改善した。さらに、免疫組織染色法あるいはWestern blot法により解析した結果、メタンフェタミン処置によりマウス前頭葉皮質および線条体においてROCK活性が亢進し、fasudilにより抑制されることを確認した。令和4年度は、前年度までに得られた結果をまとめ、国際専門誌に投稿・公表した。さらに、線条体のドーパミンD1受容体発現中型有棘神経細胞(DIR-MSN)にGCaMPを発現したマウスにfasudilを処置し、TFphoシステムを用いて脳細胞活動の変化を解析した。ドーパミン仮説に基づく統合失調症の薬理学的動物モデルの作製に用いられる覚醒剤メタンフェタミンを処置することにより、線条体のGCaMPシグナルの有意な上昇が認められ、メタンフェタミン処置により、D1R-MSNの神経活性が上昇し、自発運動量が増加することを確認した。Fasudilはメタンフェタミンによる自発運動量の増加を有意に抑制し、D1RMSNの神経活動の変化に対しても抑制傾向を示した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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