細胞膜のホスホイノシタイド群(PIPs)は、ヘッドグループのリン酸化状態に依存して多様な生理機能をもち、その代謝異常は様々な疾患に関与している。我々は最近、包括的PIPs測定方法を開発し、不明な点が多いPIPsアシル基多様性の生物学的意義の解明に取り組んでいる。本研究で、膵臓がんでPI(3)Pレベルを制御するホスファターゼMTMR3を同定し、MTMR3によって制御されるPI(3)P分子種が膵臓がん細胞の増殖を促進していることを見出した。PI(3)Pの下流分子の探索を行い、PI(3)P結合ドメインを持つWDFY1が膵臓がん細胞の増殖に関わることを解明した。
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