研究課題/領域番号 |
20H03438
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
山下 暁朗 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20405020)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | mRNA分解 / mRNA翻訳 / ナンセンス変異 / mRNA監視機構 / NMD / 新生ポリペプチド |
研究実績の概要 |
遺伝性疾患やがんにおける変異の約三分の一において、結果的に異常な終止コドンが生じる。異常終止コドンを有するmRNAは異常なタンパク質をコードするが、生体が有するmRNA監視機構のひとつであるNMD (nonsense-mediated mRNA decay)により積極的に分解排除されることにより、その発現が抑制される。申請者らを含む研究により異常mRNAの認識と分解の機構については大きく理解が深まった。一方で、変異mRNA由来の新生タンパク質の運命やNMD活性制御についてはほとんど分かっていない。本研究では、研究代表者がこれまでに多面的に研究を進めてきたNMD分子機構解析やNMD制御因子の新規結合タンパク質に着目し、『1) NMD制御因子の新規結合タンパク質を足がかりとした、NMDにおける異常終止コドン識別複合体形成と新生タンパク質解離・リボソーム解離の分子機の解明、2) NMD制御因子の新機能を足がかりとした、細胞ストレスがポスト異常終止コドン識別イベントに与える影響の解明』を行う。これらの解析により、NMDを標的とした革新的新規遺伝性疾患・”がん抗原となり得る変異mRNA由来の新生タンパク質発現”によるがん治療開発へ向けた基盤を確立すべく研究を行った。具体的には、rpL10a-GFP融合タンパク質を安定発現する細胞からのTranslating Ribosome Affinity Purification (TRAP)-seq解析、SMG1阻害剤による遺伝子発現変動の新生RNA-seq解析を行う基礎データの取得を進めた。また、新規SMG1基質についてリン酸化抗体の作成を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝性疾患やがんにおける変異の約三分の一において、結果的に異常な終止コドンが生じる。異常終止コドンを有するmRNAは異常なタンパク質をコードするが、生体が有するmRNA監視機構のひとつであるNMD (nonsense-mediated mRNA decay)により積極的に分解排除されることにより、その発現が抑制される。申請者らを含む研究により異常mRNAの認識と分解の機構については大きく理解が深まった。一方で、変異mRNA由来の新生タンパク質の運命やNMD活性制御についてはほとんど分かっていない。本研究では、研究代表者がこれまでに多面的に研究を進めてきたNMD分子機構解析やNMD制御因子の新規結合タンパク質に着目し、『1) NMD制御因子の新規結合タンパク質を足がかりとした、NMDにおける異常終止コドン識別複合体形成と新生タンパク質解離・リボソーム解離の分子機の解明、2) NMD制御因子の新機能を足がかりとした、細胞ストレスがポスト異常終止コドン識別イベントに与える影響の解明』を行う。これらの解析により、NMDを標的とした革新的新規遺伝性疾患・”がん抗原となり得る変異mRNA由来の新生タンパク質発現”によるがん治療開発へ向けた基盤を確立すべく研究を行った。具体的には、rpL10a-GFP融合タンパク質を安定発現する細胞からのTranslating Ribosome Affinity Purification (TRAP)-seq解析、SMG1阻害剤による遺伝子発現変動の新生RNA-seq解析を行う基礎データの取得を進めた。コロナウイルス感染症による遠隔講義対応や、技術員の未応募などの要因による繰り越しはあったが、次世代シークエンサーデータ解析の研究室での実施体制を整えるなど研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
高精度NMDレポーター解析を基軸に、プロテアソーム構成因子を中心とした、ナンセンスコドンを有するmRNAがコードするポリペプチドの代謝因子不活性化とNMD制御院との関わりを解析する。さらに、面英プロテアソーム構成因子との比較を進める。また、細胞ストレスとNMD、ナンセンスコドンを有するmRNAがコードするポリペプチド代謝とストレスとの関わりの解明を進める。
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