研究課題
パーキンソン病(PD)の原因となるα-Synucleinがプリオン様の性質をもち、神経回路を伝搬することが明らかになりつつある。この発見から、「α-Synucleinの種(凝集化した病因型α-Synuclein)をいかに生じさせないか」が本疾患の最も効果的な予防法の基幹となる。本研究計画では、α-Synucleinの種の生成と除去の機序を、臨床でのエビデンスが得られているミトコンドリアと脂質の2つのリスク要因から探索することを目的とした。リン脂質の恒常性に関与するElovl7や、PDモデルハエのオミックス解析で選定したリスク脂質関連酵素がα-Synucleinの凝集化に関わる機序の解析を、ショウジョウバエモデル、培養細胞伝播モデルで進め、PDリスクとなる新たな脂質代謝経路を同定した。並行して、本邦初のα-Synuclein V15A変異の凝集性、リン脂質膜への結合能をキャラクタライズし、論文報告した。V15A変異変異は凝集性が増加し、リン脂質膜への結合性が低下していた。ミトコンドリア関連PD原因遺伝子CHCHD2の変異により、顕著にα-Synucleinが蓄積する。このメカニズムを解明するため、CHCHD2ノックアウトSH-SY5Y細胞にPD変異を導入した細胞を作製し、α-Synucleinシード(凝集化の種)を導入、伝搬能の違いを評価した。さらに、単離したミトコンドリアにα-Synuclein線維が取り込まれるin vitro系を樹立し、ミトコンドリア内での線維の分解を経時的にモニターした。一方、CHCHD2の新規PD変異を同定し、患者リンパ球よりiPS細胞の樹立を進め、CHCHD2変異のドーパミン神経での病理的役割を解析する材料を整備した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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