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2020 年度 実績報告書

がん進展を駆動するSrc依存的エクソソーム分泌の意義とメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 20H03456
研究機関愛知県がんセンター(研究所)

研究代表者

小根山 千歳  愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍制御学分野, 分野長 (90373208)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードSrc / エクソソーム / がん進展
研究実績の概要

本研究の目的は、エクソソームががん形質発現においてどのような意義をもつのか?を問い、その詳細な分子基盤を解明することにより、がん進展メカニズムに対する理解を深め、新たながん制御戦略への展望を得ることである。そこでこれまでの研究を発展させ、以下の3項目に焦点を絞って、がん進展過程におけるSrcシグナルの制御破綻と、それががん特異的なエクソソーム分泌を亢進させる分子メカニズムを解析することとした。
①がん特異的エクソソーム形成を支配する分子機構
②がん特異的miRNAの選択的エクソソーム内包機構
③がんエクソソームの生体内動態とがん進展
今年度は、①に対応するSrcがんシグナルにおいてエクソソーム形成を制御する分子を探索するため、エクソソーム内包蛋白質のプロテオミクス解析により、がん細胞内でSrcシグナルの制御破綻を受けてエクソソーム形成に関わる因子を探索した。これまでの予備検討で行ったエクソソーム回収法は多数のヘテロな微粒子が混在していたため、密度勾配によるエクソソーム単離精製を行ない解析した結果、Src依存的に分泌されたエクソソーム内には、Adhesomeといわれる細胞接着に関わる分子集団が内包されていることを見出した。一方、Srcファミリーキナーゼ (SFK)間でラフトへの局在性向とエクソソーム分泌亢進能を調べた結果、がん形質誘導能と同様に相関があることが明らかとなった。そこでSrcあるいはFynについて脂質修飾部位に変異を入れ同一分子における膜ドメイン局在を強制的に変化させた場合のエクソソーム分泌量を解析する予定であったが、構築した細胞系で感染が生じたため、細胞系のクリーンアップと再作製を行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Srcファミリーキナーゼの膜ドメイン局在を強制的に変化させた変異体を導入した細胞で感染が生じ、細胞系のクリーンアップと再作製を行ったため、エクソソーム分泌量の解析がやや遅くなった。

今後の研究の推進方策

再作製したSrcファミリーキナーゼの膜ドメイン局在を強制的に変化させた変異体を導入した細胞を用いた解析により、エクソソーム分泌量と膜ドメイン局在の相関を明らかにする。同時に、膜ドメイン局在が異なる際のSrc下流シグナル経路の詳細な解析を進める。一方で、これまで見出したSrc活性依存的なエクソソームへのmicroRNAの内包に関わる候補分子について、Src活性化によるリン酸化やmicroRNAとの親和性の変化を解析する。同時に、この候補分子のノックダウンによりエクソソームに内包されるmicroRNAの変化とmicroRNAの配列や機能的特徴を解析する。また、候補分子をノックダウンした細胞由来のエクソソームを非がん細胞や浸潤能の低いがん細胞に添加して生じる表現型の変化を明らかにする。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Filopodium-derived vesicles produced by MIM enhance the migration of recipient cells2021

    • 著者名/発表者名
      Nishimura T, Oyama T, Hu HT, Fujioka T, Hanawa-Suetsugu K, Ikeda K, Yamada S, Kawana H, Saigusa D, Ikeda H, Kurata R, Oono-Yakura K, Kitamata M, Kida K, Hikita T, Mizutani K, Yasuhara K, Mimori-Kiyosue Y, Oneyama C, Kurimoto K, Hosokawa Y, Aoki J, Takai Y, Arita M, Suetsugu S.
    • 雑誌名

      Dev Cell

      巻: 56 ページ: 842-859

    • DOI

      10.1016/j.devcel.2021.02.029

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] c-Src promotes tumor progression via downregulation of miR-129-1-3p.2020

    • 著者名/発表者名
      Okuzaki D, Yamauchi T, Mitani F, Miyata M, Ninomiya Y, Watanabe R, Akamatsu H, Oneyama C.
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 111 ページ: 418-428

    • DOI

      10.1111/cas.14269.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Rictor promotes tumor progression of rapamycin-insensitive triple-negative breast cancer cells.2020

    • 著者名/発表者名
      Watanabe R, Miyata M, Oneyama C.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 531 ページ: 636-642

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2020.08.012.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] In vivo imaging of long-term accumulated cancer-derived exosomes by CD63-fused BRET reporter2020

    • 著者名/発表者名
      Hikita T, Miyata M, Watanabe R, Oneyama C.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 16616

    • DOI

      10.1038/s41598-020-73580-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] チロシンキナーゼ:分子標的薬を極める2020

    • 著者名/発表者名
      小根山千歳
    • 雑誌名

      産科と婦人科

      巻: 87 ページ: 1150-1155

  • [学会発表] エクソソーム産生機構解明に向けた分泌制御因子の解析2021

    • 著者名/発表者名
      中山真穂、小野島大介、湯川博、小根山千歳、馬場嘉信
    • 学会等名
      日本化学会第101回春季大会
  • [学会発表] 海洋薬用資源からのがんエクソソーム分泌阻害物質の探索2021

    • 著者名/発表者名
      林建宇、三谷文美絵、小根山千歳、荒井雅吉
    • 学会等名
      日本薬学会第141回年会
  • [学会発表] がんにおけるエクソソームの分泌亢進メカニズム2020

    • 著者名/発表者名
      小根山千歳
    • 学会等名
      第72回日本細胞生物学会
    • 招待講演
  • [学会発表] がん細胞由来エクソソームのin vivoイメージング2020

    • 著者名/発表者名
      疋田智也、小根山千歳
    • 学会等名
      第72回日本細胞生物学会
  • [学会発表] Src依存的エクソソーム分泌亢進におけるSNAREタンパク質の機能2020

    • 著者名/発表者名
      三谷文美絵、小根山千歳
    • 学会等名
      第72回日本細胞生物学会
  • [学会発表] In vivo imaging of long-term accumulated cancer-derived exosomes by CD63-fused BRET reporter2020

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Hikita, Chitose Oneyama
    • 学会等名
      第79回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] The role of SNARE-protein on the Src-mediated upregulation of exosome secretion2020

    • 著者名/発表者名
      Fumie Mitani, Chitose Oneyama
    • 学会等名
      第79回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] がん細胞由来エクソソームのin vivoイメージング解析2020

    • 著者名/発表者名
      疋田智也、小根山千歳
    • 学会等名
      第7回日本細胞外小胞学会
  • [学会発表] Src依存的エクソソーム分泌亢進におけるSNAREタンパク質の役割2020

    • 著者名/発表者名
      三谷文美絵、小根山千歳
    • 学会等名
      第7回日本細胞外小胞学会
  • [学会発表] がん細胞のエクソソームの分泌亢進機構とその意義2020

    • 著者名/発表者名
      小根山千歳
    • 学会等名
      第93回生化学会
    • 招待講演
  • [学会発表] Molecular mechanisms governing exosome biogenesis in cancer cells2020

    • 著者名/発表者名
      小根山千歳
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
    • 招待講演
  • [備考] 愛知県がんセンター研究所 腫瘍制御学分野

    • URL

      https://cancer-c.pref.aichi.jp/cancer-center/ri/01bumon/06shuyo_uirusu/03member.html

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公開日: 2022-12-28  

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