研究実績の概要 |
2023年度は33編の英文論文を発表した。腎臓癌、精巣腫瘍、肝芽腫、大腸癌、肺癌、下垂体腺腫におけるマクロファージおよび免疫微小環境の役割を解析した。また、マクロファージを制御することでがん免疫の活性化を誘導できることを明らかにした。 Microbiol Immunol. 2023 Nov;67(11):490-500. PMID: 37622582では、リンパ節洞マクロファージはCD163, CD204を発現していることは知られていたが、新たにCD209を強発現していることを見出した。CD169に関しては抗体クローンによって染色性が異なり、活性化状態でCD169 variantが誘導されることが示唆された。また、単球由来マクロファージの指標であるCXCL10が、洞マクロファージに観察されなかったことは、洞マクロファージが組織在住マクロファージであることを示唆している。 JCEH 2024 in pressでは、リンパ節洞マクロファージのシングルセル解析によって、CD169陽性マクロファージは樹状細胞と同様に、抗原提示やリンパ球の活性化に関わる遺伝子を発現していることが明らかとなった。大腸癌患者のリンパ節を詳細に観察したところ、年齢とともにリンパ節における洞マクロファージが減少することが明らかとなった。特に80歳以上と80歳以下で比較すると、80歳以上で統計学的に有意に洞マクロファージが減少していることが明らかとなった。
|