研究課題/領域番号 |
20H03461
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
谷田部 恭 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (90280809)
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研究分担者 |
加島 淳平 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (80893883)
小林 祥久 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30734628)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肺癌 / KRAS / 喫煙 / 腺癌 |
研究実績の概要 |
KRAS陽性肺腫瘍は、KRAS-AAH、非喫煙者末梢型KRAS肺癌、喫煙関連KRAS腺癌、浸潤性粘液腺癌などに大別することができる。また、KRAS変異は生物学的にcellular senescenceとoncogenicの逆説的な役割を有することが知られており、臓器・細胞の特性やKRAS変異バリアント、KRAS変異isoformsの発現割合などによってその生物学的役割が異なることが報告されている。そこで本研究では、肺癌におけるKRAS変異の生物学的意義について検討を試みる。KRAS変異を有する肺腺癌179例を全エクソーム解析、トランスクリプトーム解析を行い、その分子生物学的、臨床病理学的に違いがあるか検討した。その結果、 14例の非喫煙者末梢型KRAS肺癌、95例の喫煙関連KRAS腺癌、49例の浸潤性粘液腺癌、3例の喫煙関連KRAS扁平上皮癌、その他の18例に大別することができた。unsupervised hierarchical clusteringで喫煙者KRAS肺癌と浸潤性粘液腺癌では異なるクラスターを形成するほか、KRAS変異バリアントの分布も異なり、KRASアイソフォームの発現量に違いが見られた。これら解析の中で浸潤性粘液性腺癌の一部では、突然未分化癌に転化し、明瞭な結節を形成する現象が少数ながらも見いだされ、そのクローン性も含めてそのメカニズムや生物学的意義について解析し、投稿している。さらに、肺組織のマスター制御因子であるTTF-1変異は浸潤性粘液性腺癌で特異的に見いだされた。これらのことから、同じKRAS変異を有していても、喫煙者肺癌と浸潤性粘液性腺癌とは異なる分子生物学的な機序によりがん化されていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度にはAAH病変についての臨床病理学的解析を主として進めたほか、KRAS変異を最も多く高頻度に示す浸潤性粘液性腺癌について、その発育様式が結節型と肺炎型に分けた場合、臨床病理学的および悪性度の違いを示すことを発表した(Ann Thorac Surg 2021)。2021年度ではKRAS変異を有する肺腺癌179例を全エクソーム解析、トランスクリプトーム解析を行い、そのunsupervised hierarchical clusteringで喫煙者KRAS肺癌と浸潤性粘液腺癌では異なるクラスターを形成することが明らかになった。現在では公開されているTCGAデータを合わせて、アイソフォームの発現パターンの解析を進めている。また、この解析の中で浸潤性粘液性腺癌の一部では、突然未分化癌に転化し、明瞭な結節を形成する現象が少数ながらも見いだされ、そのクローン性も含めてそのメカニズムや生物学的意義について解析し、投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
ほぼデータは出そろったため、全体としての統合解析を行い、2022年では合わせて行ったTTF-1変異解析についてのデータと変異KRASアイソフォームの発現パターンとをあわせ、肺癌におけるKRAS変異の意義について検証を完了し、その結果を発表したい。
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