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2020 年度 実績報告書

胸腺を起点とした生体内恒常性維持制御の分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 20H03464
研究機関千葉大学

研究代表者

木村 元子  千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (00345018)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード制御性T細胞 / CD69 / アゴニスト選択 / 胸腺 / 恒常性維持
研究実績の概要

制御性T細胞をはじめとしたアゴニスト選択によって分化誘導される細胞群は、自己免疫疾患制御、生体の恒常性維持、がん免疫、各種炎症反応等に重要な働きをすることが知られているが、その分化機構、各種サブセットの存在、機能の詳細は不明点が多い。一方、CD69分子は、アゴニスト選択によって分化誘導される細胞群に恒常的に発現しており、その分化、機能に重要な働きをすることが示唆される。そこで本研究では、「制御性T細胞」「CD69」「胸腺内アゴニスト選択」という三つのキーワードに基づき「生体の恒常性維持機構と恒常性維持に重要な各種T細胞の分化機構と機能についての新規のメカニズム解析」を行なった。
アゴニスト選択によって分化誘導される様々な細胞群が、CD69欠損によって影響を受けるか否かについて検討した。その結果、胸腺内γδT細胞サブセット、制御性T細胞サブセットにおいて、CD69欠損によりその分化に偏りが生じることが判明した。CD69はリンパ球のトラフィッキングにに関与するS1P1と直接結合することで、その機能を抑制することが知られている。そこで、 CD69欠損マウスをS1P1欠損マウスと交配することで、CD69欠損マウスで見られた特定サブセットの分化障害が回復するかの検討も行なった。
またCD69floxマウスと細胞特異的なCreTgマウスを交配させることで、細胞特異的なCD69の発現の重要性について解析した。ある特定の細胞におけるCD69の発現は、生体の恒常性維持に重要な働きをしていることがわかってきた。引き続き、その分子機構の解明を目指して解析を行なっていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は「生体の恒常性維持機構」と「恒常性維持に重要な各種T細胞の分化機構」についてのメカニズム解析を行うことを目的としている。「制御性T細胞」「CD69」「胸腺内アゴニスト選択」という三つのキーワードに基づいて研究を進めており、令和2年度は、CD69分子を中心にして、アゴニスト選択によって分化成熟する各種細胞群の胸腺内サブセットの分化に、CD69分子が重要な働きをしている研究成果を得た。また制御性T細胞の発現するCD69が生体の恒常性維持に重要であることも判明した。現在、その分子機構について解析を進めており、研究は「おおむね順調に進展している」と言える。

今後の研究の推進方策

本研究では「制御性T細胞」「CD69」「胸腺内アゴニスト選択」という三つのキーワードに基づいた研究を進め、生体の恒常性維持機構と恒常性維持に重要な各種T細胞の分化機構について新規のメカニズム解析を行う。
第一のテーマは、「制御性T細胞の発現するCD69分子が生体恒常性維持や抗腫瘍免疫応答に果たす役割の解明」であり、制御性T細胞特異的なCD69欠損マウスを用いて、in vivoレベルでの自己免疫疾患の発症や、抗腫瘍免疫応答解析を引き続き行なっていく。
第二のテーマは、「胸腺内制御性T細胞サブセットの由来と生体の恒常性維持機能に果たす役割の解明」である。胸腺内制御性T細胞サブセットの分化機構に着目した解析を進めていく。
第三のテーマは、「胸腺のアゴニスト選択によって分化成熟する各種T細胞の分化機構と機能の解明」である。CD69欠損でみられる各種分化障害の分子機構について解析を進めることで、アゴニスト選択によって分化成熟する細胞群の新規の分子機構を明らかにする。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Myosin Light Chain 9/12 Regulates the Pathogenesis of Inflammatory Bowel Disease2021

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama Masaya、Kimura Motoko Y.、Ito Toshihiro、Hayashizaki Koji、Endo Yukihiro、Wang Yangsong、Yagi Ryoji、Nakagawa Tomoo、Kato Naoya、Matsubara Hisahiro、Nakayama Toshinori
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: 11 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fimmu.2020.594297

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 胸腺内iNKT細胞分化機構とCD69の役割2021

    • 著者名/発表者名
      木村元子
    • 雑誌名

      血液内科

      巻: 82(1) ページ: -

  • [雑誌論文] Essential Role for CD30-Transglutaminase 2 Axis in Memory Th1 and Th17 Cell Generation2020

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Akane S.、Yagi Ryoji、Kimura Motoko Y.、Iwamura Chiaki、Shinoda Kenta、Onodera Atsushi、Hirahara Kiyoshi、Tumes Damon J.、Koyama-Nasu Ryo、Iismaa Siiri E.、Graham Robert M.、Motohashi Shinichiro、Nakayama Toshinori
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: 11 ページ: 1536

    • DOI

      10.3389/fimmu.2020.01536

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Activated invariant natural killer T cells directly recognize leukemia cells in a CD1d‐independent manner2020

    • 著者名/発表者名
      Aoki Takahiro、Takami Mariko、Takatani Tomozumi、Motoyoshi Kiwamu、Ishii Ayana、Hara Ayaka、Toyoda Takahide、Okada Reona、Hino Moeko、Koyama‐Nasu Ryo、Kiuchi Masahiro、Hirahara Kiyoshi、Kimura Motoko Y.、Nakayama Toshinori、Shimojo Naoki、Motohashi Shinichiro
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 111 ページ: 2223~2233

    • DOI

      10.1111/cas.14428

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Differentiation of Pathogenic Th17 Cells Is Negatively Regulated by Let-7 MicroRNAs in a Mouse Model of Multiple Sclerosis2020

    • 著者名/発表者名
      Angelou Constance C.、Wells Alexandria C.、Vijayaraghavan Jyothi、Dougan Carey E.、Lawlor Rebecca、Iverson Elizabeth、Lazarevic Vanja、Kimura Motoko Y.、Peyton Shelly R.、Minter Lisa M.、Osborne Barbara A.、Pobezinskaya Elena L.、Pobezinsky Leonid A.
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: 10 ページ: 3125

    • DOI

      10.3389/fimmu.2019.03125

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] T細胞性免疫のエフェクタ-機能のメカニズム 生体防御におけるT細胞の機能2020

    • 著者名/発表者名
      中山俊憲、木村元子、八木良二
    • 雑誌名

      基礎免疫学 原著第6版ー免疫系の機能とその異常

      巻: - ページ: 111-127

  • [学会発表] CD69 Biology and Pathology2020

    • 著者名/発表者名
      Kimura M.Y., Koyama-Nasu, R., Mita Y., Hayashizaki, K. and Nakayama T.
    • 学会等名
      11th International Symposium of IFReC, Immunology at the Forefront
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 千葉大学大学院医学研究院 免疫発生学HP

    • URL

      https://www.m.chiba-u.ac.jp/class/meneki/jisseki/index.html

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公開日: 2021-12-27  

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