研究課題
自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎の発症機構は明らかになっていない。我々は樹状細胞特異的に低分子量G蛋白質Rab7aを欠損させると1型と2型の自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎を発症してマウスは死亡することを発見した。樹状細胞特異的Rab7a欠損マウスはエンドソームが巨大化してMHCクラスIの移動と分解に異常が生じており、エンドソーム異常によりクロスプレゼンテーションも著しく増強していた。Rab7a欠損によるVps34の持続的な活性化がエンドソームの巨大化に関与していると考えられたため、Vps34阻害剤を加えたところエンドソームの巨大化は消失し、クロスプレゼンテーションの増強も正常に戻った。樹状細胞特異的Rab7a欠損マウスの肝臓においてCD8T細胞が強く活性化しており、抗CD8抗体でCD8T細胞を取り除くことで肝臓の線維化が減少した。T細胞はαβT細胞とγδT細胞に分けられる。そのため樹状細胞特異的Rab7a欠損マウスにαβT細胞欠損マウスであるTCRβ欠損マウスを交配させたところ、自己免疫性肝炎の症状は消失した。一方、原発性胆汁性胆管炎の症状は残った。次にαβT細胞とγδT細胞を同時に欠損するTCRβxδ欠損マウスと交配したところ自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎の発症は消失した。Rab7aは様々な機能を持っており本当にエンドソームの異常なのかを明らかにするため、エンドソーム成熟の下流で起こるエンドソームとライソソームの融合に関与するVps41を樹状細胞特異的に欠損させたところ自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎を発症してマウスは死亡した。このマウスの肝臓においてもCD8T細胞とγδT細胞の顕著な活性化が認められた。このことより樹状細胞のエンドソーム異常によりαβT細胞とγδT細胞の強い活性化が起こり、自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎を引き起こすことが明らかとなった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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FEBS Letters
巻: - ページ: 1-15
10.1002/1873-3468.14619
Frontiers in Immunology
巻: 13 ページ: 941931-941937
10.3389/fimmu.2022.941931
https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/kanseniden/public/