マラリア原虫と宿主との相互作用の観点から病態発症のメカニズムに挑む研究アプローチはほとんどとられていない。つまり、マラリア感染赤血球内で形作られる赤血球蛋白質や原虫蛋白質の輸送システム、赤血球膜に提示された蛋白質と宿主の血管内皮蛋白質との相互作用、というマラリアの病態発症や重症化に直接関わるメカニズムの解明についてはなおざりの状態である。本研究では、マラリアの病態の重症化の原因となる感染赤血球のロゼット化と血管内皮との癒着、結合(シクエストレーション)を担当する原虫蛋白質群や宿主細胞蛋白質群が、感染赤血球内でのメンブレントラフィックによって輸送され、感染赤血球膜に提示される機構の解明を行った。
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