研究課題
マラリアの治療には感染ステージによっていくつか治療薬剤(抗マラリア薬)が存在し、その有効性が示されている。一般的に、高マラリア薬にはマラリア原虫を直接殺滅する作用があり、その作用がマラリ ア治療に有効であると考えられている。一方、我々は従来の研究から、マウスマラリア赤内期における抗マラリア薬 の作用機序(抗マラリア治療効果)には宿主免疫機構が関与している可能性を考えている。本研究では、我々の知見に基づき「抗マラリア薬の生体内での作用機序 における宿主免疫系の役割」について検証する。また、「生体内での抗マラリア薬耐性原虫の出現機序とその薬剤耐性機構」についても検証する。本年度はクロロキン投与で認められる現象が他の抗マラリア薬でも認められるか否かについても検討した。また、クロロキンの抗マラリア作用に抗体が必要である理由の解明を試みた。抗体を欠損するマウスにおける赤内型PyXNL感染ではクロロキン投与で原虫血症がほとんど低下しないが、クロロキンの代わりにアルテミシニンを投与すると原虫血症は低下した。しかしアルテミシニン投与により原虫血症低下が認められた抗体欠損マウスのうちおよそ25%ではアルテミシニン投与を中止すると原虫血症が再び出現した。このことから、抗体欠損マウスで認められる抗マリア薬無効現象はクロロキンに限定される可能性が示唆された。一方、適応免疫系を欠損するRag2遺伝子欠損マウスでは赤内期PyXNL感染をクロロキンでは完全に治癒させることができなかったが、同様の現象がアルテミシニン投与でも認められた。したがって、抗マラリア薬による赤内期感染の治療において抗体及びT細胞、B細胞の適応免疫系が必須であることも明らかとなった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sci Rep
巻: 13 ページ: 15629-15639
10.1038/s41598-023-42903-7.