私たちは本研究から、抗マラリア薬の生体内での薬理作用には宿主免疫機構が大きく関与しているとの知見を得た。この知見から、抗マラリア役にてマラリアを治療する際には患者の免疫機構が十分に維持されている必要があることが示唆された。一方、マラリア流行地では栄養不全や若年者など免疫機構が十分ではないものが感染する。このような患者では抗マラリア薬が十分にその効果を発揮せず、感染が遷延するのではないかと推察される。感染の遷延と抗マラリア薬の持続的使用によって薬剤耐性原虫の出現が危惧される。そのため、抗マラリア薬を使用する際にはこれまで以上に患者の免疫機構の状態に留意し、状態によって治療法を選択する必要がある。
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