研究実績の概要 |
1)プラズマ細胞は骨髄のみならず、腸管リンパ組織や脾臓においても長期生存することが知られている。しかしプラズマ細胞の生存の程度が組織によって異なるのか?抗体のアイソタイプによっても異なるのか?については明らかにされていない。そこでIgM, IgA, IgG陽性プラズマ細胞が、腸管リンパ組織(小腸粘膜固有層)、脾臓、そして骨髄でどのように生存するのかをプラズマ細胞のfate mappingシステムを用いて解析した。その結果、抗体のアイソタイプに関わらず、骨髄における生存率が最も高いことが判明した。 2)末梢リンパ組織で誕生したプラズマ細胞の生存ニッシェへの移動と生存を制御するメカニズムの解析を行った。プラズマ細胞の優れた生存ニッシェである骨髄への移動はstochasticに制御されているのか、それとも一部のプラズマ細胞のみがselectiveに移動するのかは明らかにされていない。そこで脾臓の抗原特異的プラズマ細胞における様々なインテグリン分子の発現を調べたところ、一部のプラズマ細胞のみがインテグリンβ7を発現していることが判明した。また免疫後早期に血液内や骨髄で検出されるプラズマ細胞はインテグリンβ7を高発現するものが大半であった。このことからインテグリンβ7を発現するプラズマ細胞が選択的に血液へ流出し、そして骨髄へ流入する可能性が考えられた。プラズマ細胞におけるインテグリンβ7の機能を解析するために、インテグリンβ7のfloxedマウスを作成した。
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