研究課題
自己炎症性疾患患者において同定された遺伝子変異(バリアント)を導入したマウスについて免疫学的解析を行った。まず、タンパク質の細胞内輸送を担う機能分子COPAにアミノ酸置換を来す新規遺伝子バリアント(COPA p.V242G)をヘテロで有するマウスの解析を進めた。樹状細胞において、細胞質内DNAセンサー経路(STING)は亢進していたが、細胞質内RNAセンサー経路(RIG-I)、膜タンパクを介した核酸センサー経路(TLR7/9)はむしろ抑制されていた。また、間質性肺炎の病変部位では、脾臓と同様に、I型インターフェロン(IFN)で誘導される遺伝子群の発現が亢進されていて、T細胞については、CD4T細胞、CD8T細胞共に、顕著な活性化とIFN-γの産生亢進が認められた。また、プロテアソームサブユニットβ1iのアミノ酸置換を引き起こす新規遺伝子バリアント(β1i p.G156D)をヘテロで有するマウスにおいては、リンパ球と共に樹状細胞が減少していた。樹状細胞については、I型、II型通常樹状細胞(CDC1、CDC2)、形質細胞様樹状細胞(PDC)、すべてのサブセットが減少していたが、特にCDC1の減少が顕著であった。この傾向は骨髄細胞をサイトカイン(Flt3L)存在下で培養した樹状細胞についても認められた。また、樹状細胞前駆細胞について、数はほぼ正常であったが、いくつかの分化マーカーの発現低下が認められ、この分化段階で異常が生じていることが示唆された。さらに、好中球、単球については、数は増加していたが、特に脾臓での成熟分化が障害されていた。このように、β1i p.G156Dによって生じる免疫機構の破綻の実態が明らかになってきた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
免疫不全を伴うプロテアソーム関連自己炎症症候群の発見とそのモデルマウスhttps://www.wakayama-med.ac.jp/intro/press/r3/211207/07_menekifuzen.htmlCOPA症候群(自己炎症性疾患)モデルマウス https://www.wakayama-med.ac.jp/intro/press/r3/210628/28_seitai.html
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