研究課題
大腸がんの新規治療標的遺伝子を探索するために、二つの項目に分けて研究を進めた。A. 炎症を伴う大腸がん関連遺伝子の生体内スクリーニング炎症微小環境で大腸がんが形成される際に、細胞老化遺伝子に高頻度に変異が認められることを生体内スクリーニングで見出した。この分子機序を明らかにするために、オルガノイドを用いた詳細な解析を行なった。炎症性サイトカイン刺激を大腸上皮オルガノイドに2週間以上与え続けると、遺伝子発現パターンが大きく変化し、細胞老化経路活性化や幹細胞様化が引き起こされることを網羅的発現解析や1細胞発現解析から見出した。さらに、この発現変化はヒストン修飾(H3K27me3とH3K4me3)の変化が見られることから、エピゲノムリモデリングを伴い細胞の状態が変化していることが示された。炎症刺激によって引き起こされるこのような細胞状態の変化が、炎症関連腫瘍形成過程で細胞老化経路遺伝子に高頻度に変異が見られることの一因となっていると考えられ、炎症微小環境が、がん化過程に与える影響の新たな一面を明らかにした。B. CRISPRを用いたAPC遺伝子欠損細胞における合成致死遺伝子の網羅的探索前年度までに決定した実験条件を用い、APC欠損細胞とAPC野生型細胞において、全遺伝子を網羅したgRNAライブラリのレンチウイルスによるスクリーニング実験の第一回目を行なった。具体的には、1.5x10^8細胞をそれぞれ準備し、90,000 gRNAから構成されるライブラリをレンチウイルスにて導入して4.5x10^7細胞数で維持した。薬剤セレクション後、2週間と3週間でゲノムを回収した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022
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J Pathol.
巻: 257 (1) ページ: 39-52
10.1002/path.5868.