研究課題
CT26大腸がん細胞を同系統マウスの複数個所に同種移植し、5~7 mm径に増殖した時点でがん組織の1ヵ所に抗腫瘍ウイルスを隔日で3回腫瘍内投与(1回あたり2X107 PFU in 50uL PBS)し、投与部位、遠隔部位の腫瘍が縮小・退縮するか、観察した。陽性コントロールとして、抗OX40アゴニスト抗体+CpGを投与した。各グループ、最低5匹のマウスを用いた。BC-PIVに挿入する外来遺伝子となるT細胞共刺激分子はマウスOX40L、4-1BBL、GITR(Glucocorticoid induced TNFR-related protein)L、CD30L、CD70(CD27L)を用いた。これら5種のコンストラクトに搭載された蛋白の発現をWestern blot解析によって確認した後、各々担がんマウスに投与し、有効性・安全性の高い分子を選別した。さらに、異なる2分子を縦に同時挿入したコンストラクトも作製した。これらの中から有効性・安全性の面で最も優れているものをスクリーニングし、最終候補物として選定した。最終候補物は抗OX40アゴニスト抗体+CpG投与群よりもさらに強い抗腫瘍効果を示し、遠隔部位も含めて腫瘍を消失させた。並行して、T細胞活性化抗腫瘍ウイルスの分子生物学的、免疫学的解析として、市販の各種受容体タンパク質を用いたELISAによるリガンド-受容体結合を検出した。また、ネイティブPAGEを用いたWestern blot法によって、各膜貫通型リガンド蛋白が3量体として組換えウイルス粒子上に搭載されていることも確認した。
2: おおむね順調に進展している
2020年度は、緊急性を要する他のプロジェクト(新型コロナウイルスワクチン開発)にかなり時間を割いたが、本研究に関してはこれまで積み上げてきた成果も蓄積されており、比較的順調に進展させることができた。
今後はこれまでに得られた結果の確認実験を行うとともに、より詳細な免疫学的解析を行っていく予定である。
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