T細胞共刺激性膜貫通リガンド蛋白搭載ウイルスベクター開発と革新的癌治療法への応用

2021 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 20H03529
• 研究機関: 三重大学
• 研究代表者: 野阪 哲哉 三重大学, 医学系研究科, 教授 (30218309)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: Ｔ細胞共刺激分子 / ウイルスベクター / OX40 / 4-1BB / GITR

研究実績の概要

T細胞共刺激分子に対するリガンドであるOX40L、 4-1BBL、 GITRL、CD30L、CD70のうち、遺伝子A、遺伝子Bの順でtandemに配置させたinsertをもつBC-PIVが、再現性をもって最も効果的なTAV(T cell-signaling anti-tumor virus)であることが判明し、第3世代のTAVに認定した。第3世代TAVにも肝毒性は見られず、アゴニスト抗体よりも有効性・副反応のバランスが優れていると考えられた。ただし、CT26大腸がん細胞株の移植の系に匹敵する優れた実験系が他に見出せておらず、細胞株の探索とともに、TAVを補助する増強剤（パートナーのベンチャー企業と共同開発中の、ある種の微生物由来の独自アジュバント）や細胞傷害性Ｔ細胞の活性を増強するサイトカイン、ケモカインを発現するBC-PIVとの併用によって、TAVの効果をより顕著にする試みも必要であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度はコロナ禍が深刻になり、小規模の研究室において研究時間の多くをBC-PIVをベースにした新規モダリティの新型コロナウイルスワクチン開発に割いたため、本研究を進行させるエフォートが減少した。その結果、免疫学的解析や生化学的解析が不十分になった感がある。しかし、TAVの有効性が顕著であることは確かであるので、本質的な遅れではないと考えられた。

今後の研究の推進方策

不十分だった免疫学的・生化学的解析を行うとともに、第3世代TAVの効果の増強因子の解析にも注力していく。

備考

三重大学大学院医学系研究科　感染症制御医学・分子遺伝学分野　https://www.medic.mie-u.ac.jp/microbiol/
三重大学卓越型研究施設　次世代型VLPワクチン研究開発センター　https://www.mie-u.ac.jp/research/vlp-vakzin/

研究成果

• [雑誌論文] Inhibition of lung microbiota-derived proapoptotic peptides ameliorates acute exacerbation of pulmonary fibrosis. (2022)
  • 著者名/発表者名: D'Alessandro-Gabazza CN, Yasuma T, Kobayashi T, Toda M, Abdel-Hamid AM, Fujimoto H, Hataji O, Nakahara H, Takeshita A, Nishihama K, Okano T, Saiki H, Okano Y, Tomaru A, D'Alessandro VF, Shiraishi M, Mizoguchi A, Ono R, Ohtsuka J, Fukumura M, Nosaka T, et al. & Gabazza EC
  • 雑誌名: Nat Commun 巻: 13 ページ: 1558
  • DOI: 10.1038/s41467-022-29064-3.PMID: 35322016
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Non-propagative human parainfluenza virus type 2 nasal vaccine robustly protects the upper and lower airways against SARS-CoV-2. (2021)
  • 著者名/発表者名: Ohtsuka J, Imai M, Fukumura M, Maeda M, Eguchi A, Ono R, Maemura T, Ito M, Yamayoshi S, Kataoka Y, Kawaoka Y, Nosaka T
  • 雑誌名: iScience 巻: 24 ページ: 103379
  • DOI: 10.1016/j.isci.2021.103379
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] ワクチン開発と今後の課題 (2021)
  • 著者名/発表者名: 野阪 哲哉、福村 正之、大塚 順平
  • 学会等名: 第31回日本産業衛生学会全国協議会
  • 招待講演