研究実績の概要 |
本研究では、これまで機能が不明とされてきたBRAF変異について、RASを構成するKRAS, NRAS, HRASをすべて欠損したRAS less細胞を用いた機能解析を行ってきた。その結果、2019年時点で機能が明らかでなかったバリアント106種類について、Class 1変異1種類(V600G)、Class 2変異6種類、Class 3変異 10種類を新規に同定するとともに、89種類についてはnon-functional変異であることを明らかにしてきた。本年度は、これら新規に同定された変異について、BRAFタンパク質の配列、構造、相互作用などの公開データを基に立体構造を解析し、機能獲得の理由を明らかにすることを目指し検討を行った。さらに、既知のClass 2、3変異と合わせて、機械学習などの手法を用い、立体構造の変化に基づく、変異BRAF機能予測モデルの作成を試みてきた。機能獲得の理由については構造予測に基づく原因を行っているが、現時点では十分なエビデンスが得られておらず、今後も継続する予定である。機能予測モデルについては、プロトタイプの作成は行えており、今後精度の向上を行う予定である。また、Class I-IIIの各サブタイプについて得られた特徴的な活性化パスウエイについては、現在がん種ごとの違いについて試みている。肺がんについては十分症例が得られていないことから、症例集積が十分であったBRAF変異症例について、Class I-IIIの各サブタイプに特徴的に活性化するパスウエイを明らかにするとともに、腫瘍周囲の微小環境の推定をbioinformaticsの手法用いて解析した。
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