研究課題
本研究では、患者のがん生検組織、PDX移植腫瘍および同一患者の時系列の手術切除組織を用いて、大規模なリン酸化プロテオーム解析とバイオインフォマティクス解析を行い、その定量データをもとに、がんシグナルパスウェイとパスウェイ上のキナーゼ活性を網羅的に推定することで、がんの多様性を理解し、患者の層別化と個人個人に対して最適な治療法の提案をすることを目的とする。2022 年度は、次世代型がん最適医療の構築を目指して、検体採取後20秒以内に凍結保存した内視鏡生検検体を用いた患者の体内の「リアルタイム」なリン酸化プロファイリングから、胃がん症例をサブタイプ1:CDK活性型、2:上皮間葉転換(EMT)型、3:その他 (割合35%、15%、50%)に分類することに成功した。また、1次化学療法増悪後にEMT型サブタイプの割合が60%を超えることも見出した。新たな間葉系胃がん細胞に対する特異的な治療標的として、サブタイプ2で活性化しているキナーゼAの阻害剤とパクリタキセルの併用治療法の抗腫瘍効果をin vitroおよびin vivoで確認した(研究代表者:朝長、分担者:足立、朴)。大腸がんの原発巣と肝転移組織を最先端リン酸化シグナルプロテオミクス解析し、予後不良群において肝転移によりキナーゼBが活性化することを明らかにした。また、35種類の大腸がん細胞株のリン酸化プロテオームデータ・薬剤感受性情報を用いて、キナーゼ活性情報から有効な薬剤を論理的に選択する手法を開発し、キナーゼBに応用した。その結果、キナーゼ阻害剤Cが選択され、その抗腫瘍効果をin vitro及びin vivoで検証し、シグナルプロテオミクス創薬の概念実証に成功した(朝長、足立、朴、長山、研究協力者軍司)。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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