研究課題/領域番号 |
20H03548
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
肥後 剛康 京都大学, 医学研究科, 講師 (10396757)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 霊長類 / 高次脳機能 / 回路操作 |
研究実績の概要 |
ヒトを含む霊長類の高次認知機能は、高度に発達した大脳皮質の神経回路によって制御されると考えられている。しかし、その検証技術が未開発なため、研究は 国際的に停滞している。本研究では、霊長類の大脳皮質において最適化された神経回路操作技術を完成させることをメインの目的とする。次に、当該回路操作技術を課題訓練サルへ適用し、高感度の電気生理学と行動学実験解析を駆使することで、高次認知機能の制御メカニズムを回路レベルから明らかにする。本研究では、申請者が独自に同定した「作業記憶」制御の責任部位である前頭前野腹外側部(vlPFC)にある前頭弁蓋部とその投射先9野、46野に着目し、それら神経回路をターゲットとした技術開発によって目的達成を果たす。システムと実験の具体的な説明であるが、vlPFCへはAAV2-retro-hSyn-Cre-V5-tag、9野へはAAV1-hSyn-LoxP-GFP-LoxP-Tet-On-3G-HAとAAV1-TRE3G-eTeNT-FLAG-2A-Silencerを導入し、Doxなし、ありでのeTeNT-FLAGの発現誘導を免疫組織化学により検証した。結果、Dox依存的eTeNT-FLAG誘導を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、霊長類の大脳皮質において最適化された神経回路操作技術を完成させることをメインの目的とする。次に、当該回路操作技術を課題訓練サルへ適用し、高感度の電気生理学と行動学実験解析を駆使することで、高次認知機能の制御メカニズムを回路レベルから明らかにする。本研究では、まず、これら開発技術を申請者が独自に同定した「作業記憶」制御の責任部位である前頭前野腹外側部 (vlPFC)にある前頭弁蓋部とその投射先9野、46野へ適用した。具体的には、vlPFCへはAAV2-retro-hSyn-Cre-V5-tag、9野へはAAV1-hSyn-LoxP-GFP-LoxP-Tet-On-3G-HAとAAV1-TRE3G-eTeNT-FLAG-2A-Silencerを導入し、Doxなし、ありでのeTeNT-FLAGの発現誘導を免疫組織化学により検証した。結果、Dox依存的eTeNT-FLAG誘導を確認し、第1の目的を達成した。次の目的である高次認知機能の制御メカニズムに関しても、脳機能評価課題の訓練をほぼ終了しており、予定通りの進捗状況と言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当該技術による回路操作効果を評価するため、サルへの認知機能評価課題の訓練を完了させる。その後、当該技術による神経回路特異的遺伝子発現システムを訓練ザルへ導入し、行動や神経活動への影響を検証することで、本研究の最終目的である高次認知機能の制御メカニズムの解明へ繋げる。
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